
前半のハラハラ感はどこへ?後半の失速がツライ。
『ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ』(2020)の感想、解説をしていきます!
『ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ』(2020)の評価
項目 | 評価 |
知名度 |
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配役/キャスト |
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ストーリー |
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物語の抑揚 |
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サスペンス性 |
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おススメ度 |
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『ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ』(2020)の作品情報
製作年 | 2020年 |
原題 |
The Woman in the Window |
製作国 | アメリカ |
上映時間 | 101分 |
ジャンル | サスペンス |
監督 | ジョー・ライト |
脚本 | トレイシー・レッツ |
主要キャスト | エイミー・アダムス(アナ・フォックス)
ゲイリー・オールドマン(アリステア) ジュリアン・ムーア(ジェーン/ケイト) ジェニファー・ジェイソン・リー(ジェーン) |
『ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ』(2020)の概要
「つぐない」「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」のジョー・ライト監督が、エイミー・アダムス、ゲイリー・オールドマン、ジュリアン・ムーアら豪華実力派キャストを迎えて描いたサスペンススリラー。A・J・フィンの同名小説を原作に、広場恐怖症を抱えた主人公が、隣家で起こった恐ろしい出来事を目撃したことをきっかけに、不可解な出来事に翻弄されていく姿を描く。広場恐怖症のため外に出られない心理学者のアナ。向かいの家に越してきたジェーンと知り合った彼女は、ジェーンと夫アリステアの生活を覗き見るようになる。ある日、ジェーンが恐ろしい暴力に遭遇している場面を目撃したアナは警察に通報するが、アリステアは何も起きていないと主張。警察も、病を抱えるアナの言うことを信じてくれない。さらに、ジェーンを名乗る別の女性も現れ、アナは自分自身が信じられなくなっていく。Netflixで2021年5月14日から配信。
映画.comより引用
『ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ』(2020)のキャスト・役柄について考察
エイミー・アダムス/アナ・フォックス
・ ある事件がきっかけで広場恐怖症(パニック障害)となり、外に出られない生活が続いている。
・ 薬をアルコールで飲み、頭がもうろうとすることもしばしば。
・ 夫と娘と離れて暮らしている。
・ 古い映画が好き。
・ かつて児童心理セラピストをしていた。
そんな感じで、出だしからアナの危なっかしい生活が前面に出てきます。
果たしてこの人物はストーリーテラーとして正しいのだろうか?!
映画の内容はイマイチだけどやっぱりエイミー・アダムスは素晴らしいです。
何か起きるんじゃないか?と感じさせてくれる役者です。
『魔法にかけられて2』の撮影がアイルランドで始まったという嬉しいニュースが届きましたね!
またきらっきらのプリンセスとなって帰ってくるのですね!
ゲイリー・オールドマン/アリステア
イーサンの父。
ロンドンで勤務していたが、突然ニューヨークへ異動。
息子や妻はアリステアを怯えている様子。
アナの目の前でイーサンを殴るなど、暴力で支配しているように見える。
ゲイリー・オールドマン!
やっぱり素敵!
マンクではでっぷりした中年男性だったのでその落差にクラクラします。
本作での感想としては「こんなちょい役よく出たな。」です。
ジュリアン・ムーア/ケイティ、ジェーン
謎の女ジェーン。
外出して気を失ったアナを介抱し、身の上話をするなど気を許せる存在に。
少ない出番ながらジュリアン・ムーアの爆発ギリギリの明るい表情は素晴らしかったですね。
神経衰弱気味のヒステリックな笑顔。
本作での感想としては「こんなちょい役よく出たな。」です。
フレッド・ヘッキンジャー/イーサン
イーサンはアナの向かいに越してきた一家の息子。
人懐っこいけどどこか寂し気な表情を持つ少年。
猫アレルギー。
支配的な父親がいて、何かを隠している。
家庭内暴力なのか?
演じるのはフレッド・ヘッキンジャー。
『エイス・グレード 世界で一番クールな私へ』(2018)や『この荒漠たる荒野で』(2020)という話題作に出演している旬な俳優です。
『ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ』(2020)の感想※ネタバレあり
冒頭から別居中の夫と娘と電話で会話するシーンが出てきますが、実は二人はアナが起こした事故で亡くなっています。
これを警察に聞かされたシーンがこの映画のピークだったように思います。
アナは狂っているのか?
観ている私たちにも確信が持てません!
ここにもっとフォーカスすれば良かったのではないだろうか!
ストーリーテラーが信用ならない物語には名作が多いですもんね。
確信が持てなくなってすぐに「やっぱり正常だった」となった途端に犯人登場じゃあね。
アナが本当に恐ろしいと思っていたのは「自分は狂っているのではないか」ということ。
そして心の奥底にある「赦されたい」という気持ちを隠していることなのでは?
色々取り込みすぎてそこが分かりにくかったのが残念です。
足して足して、また足して!
引き算が必要な場合もあるのですよ。
でも要素を足しておいて上映時間を短くしちゃだめですよ。
原作ではイーサンはか細い美少年という描写だったように思いますが、映画では固太りの危ないやつって感じでした。
特に何をするでもなく犯人がのこのこと登場し、突然児童心理セラピスト風吹かせるアナ。
イーサンを救うことで自分の娘が死んでしまったことから許されたいと願っていたのにまさかこんな目に合うとは。
イーサンもイーサンで「人の最後の瞬間を見るのが好きなんだ」という完全なサイコ野郎だけど、デヴィッドを刺したときは最後を見届けてなかったよね?
足掴まれてたし。
「最後見てへんやん」とつぶやいてしまったもん。
(あ!女性限定か?!そういうことか...。)
まぁその未熟さが少年(には見えないのがまたツライ)ということでいいのかな?そういう感じでいいのよね?
ラストで起きる階段での二人の攻防戦は古いCGを見せられているかのようで苦痛でした。
結局アナがめんどくさがって(?)天窓を修理に出さなかったおかげでイーサンを返り討ちにすることができたんだけど。
ある意味イーサンのおかげで現実を直視し、広場恐怖症を克服できたアナは再び人生を取り戻せたんですけどね。
カメラワーク、構図、照明などは本当に素晴らしくて、好きなシーンは多々あります。
遺書を動画で収めるシーン、ロッキングチェアに揺られながらラッセルの会社に不審死について問い合わせるシーンなど。
一番好きなのは「残念ですがご家族は亡くなっています」と刑事に言われた時、事故現場が室内に映し出されるシーンです。
なんて印象深いシーンばかりなのでしょう。
音楽も不気味で、さすがのダニー・エルフマンだし、超豪華なスタッフとキャストだっただけに肩透かし感が半端ない。
あと一歩で最高のサスペンス映画になりそうだったという作品でした。
『ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ』(2020)まとめ
物語はイマイチだったとしても、俳優のすばらしさを改めて知った作品になりました。
今では女優は40代、50代、60代でも大活躍できる時代になったと感じます。
「女優は主人公の添え物」という古い概念が映画界から消えつつある現状を本当にうれしく思います。
おかげで物語の幅は大きく広がっているのだから。
巨匠アルフレッド・ヒッチコックの『裏窓』をオマージュした作品ですが、主人公が女性である点などに時代の変化を感じます。
誰も予想できなかったのに突然犯人が登場したり、恐怖症を克服するのが早すぎる感はありますが、気軽に観ることができる作品でした!