
果たしてピーターは強いのか?冷酷なだけではないか?
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(2021)の感想、解説をしていきます!
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(2021)の評価
項目 | 評価 |
知名度 |
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配役/キャスト |
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ストーリー |
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物語の抑揚 |
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有害な男らしさ度 |
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おススメ度 |
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『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(2021)の作品情報
製作年 | 2021年 |
原題 |
The Power of the Dog |
製作国 | イギリス・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド・アメリカ合作 |
上映時間 | 128分 |
ジャンル | ドラマ |
監督 | ジェーン・カンピオン |
脚本 | ジェーン・カンピオン |
主要キャスト | ベネディクト・カンバーバッチ(フィル)
キルスティン・ダンスト(ローズ) ジェシー・プレモンス(ジョージ) コディ・スミット=マクフィー(ピーター) |
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(2021)の概要
大牧場主のフィル・バーバンクと弟ジョージの兄弟は、地元の未亡人ローズと出会う。ジョージはローズの心を慰め、やがて彼女と結婚して家に迎え入れる。そのことをよく思わないフィルは、2人やローズの連れ子のピーターに対して冷酷な仕打ちをする。しかし、そんなフィルの態度にも次第に変化が生じる。フィル役をカンバーバッチが演じ、ローズ役のキルステン・ダンスト、ジョージ役のジェシー・プレモンス、ピーター役のコディ・スミット=マクフィーが共演。2021年・第78回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞。
映画.comより引用
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(2021)の感想
とてつもなく雄大で美しい自然に囲まれた中で起きた、せせこましい物語だったという印象です。
人間のちっぽけさと愚かしさを描いているのだろうけれど、展開が読めてしまって残念。
冒頭からピーターがこの後起こすことをはっきりと口にしているし、フィルがゲイであることはすぐにわかります。
なのでオチではびっくりするというより、血も涙もない展開に辟易しました。
どこかで見たような物語にサイコパスを放り投げただけで、批評家がなぜ大絶賛しているのか私にはわかりませんでした。
それぞれの歪んだ関係性
フィルとジョージ
フィルは溺愛(依存)している弟が結婚したことでひとりぼっちになってしまい、嫉妬、そしておそらく自分は女性と一生一緒になることはないことを改めて突きつけられたように感じた為に、弟が愛する人をいじめる。
すごーく男らしくないやり方で。
ジョージはいいやつだけど、なんていうか、それだけの人間なんです。
気づかない。
フィルを見る目がしんどそうだったから、フィルがゲイであることを知っていると思います。
兄の悩みと孤独からくる息苦しさ、そして優秀な兄への劣等感。
二人は共依存的な関係なのではないでしょうか。
ローズとピーター
ピーターは大切な母親を守るために何でもする。
周りにはそれが全く分からないところがサイコパス。
他の人の前では「母親の言いなりにはならない」と言ってますが演技ですもんね。
大切な大切なお母さんだから。
でもピーターの底知れぬ冷たさ、ローズは気づいているのかな?
ピーターが母親の事を「ローズ」と呼ぶことも変だし、母親も息子に対するというより、もっと違う愛情を感じる。
てことで、この2人も共依存なんでしょう。
フィルがいなくなれば問題はすべて解決するのだろうか
フィルは「有害な男らしさ」が蔓延するカウボーイの世界の人間なので、ゲイである本当の自分を押し殺して生きていくしかないという苦悩を抱えながら、義理の妹をいびる事しかできない哀しい男です。
悲しいほど幼稚でいじけた男です。
そりゃフィルのねっとりしたいびりはローズがアル中になった原因の一つではあると思いますが、殺すほどなのか??
これで「有害な男らしさ」を持つ男性を罰することができたのでしょうか?
しかもフィルを騙して、自分に気があるように思わせて。
フィルの肩を持つわけじゃないけど、フィルがいなくなったら問題はすべて解決するのかは疑問です。
アル中の妻をほったらかしにしてるジョージは、これからも何も気づかないでしょう。
ラストはフィルにとって終わりだけれど、彼らにとっては新しい人生の始まりです。
この先が彼らにとって幸せであることを願います。
飛ぶ鳥を落とす勢いのトーマシン・マッケンジーもちょこっと出演していますよ!
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(2021)まとめ
賞レースで騒がれているのは納得の作品です。
誰に感情移入するかで好みは変わるのかもしれません。
とても冷静に客観的に観るように作られた作品なので、感情移入しがたいのですが、私はフィルの人生が悲しくて仕方なかったです。
原作を買ったので、じっくり読みたいと思います。