『サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ』(2019)ネタバレ感想と考察
(C)Courtesy of Amazon Studios

全てがラストにつながっている。最後の最後まで観る者を惹きつける力強い映画。

第93回アカデミー賞 作品、主演男優、助演男優など6部門のノミネート。日本では劇場公開されておらず、Amazonプライムでのみ配信。劇場公開しないのがもったいない作品。見逃さないで欲しい。

 

『サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ』(2019)の評価

項目 評価
知名度
配役/キャスト
ストーリー
物語の抑揚
感情移入度
おススメ度
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『サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ』(2019)の作品情報

製作年 2019年
原題 Sound of Metal
製作国 アメリカ
上映時間 130分
ジャンル ドラマ
監督 ダリウス・マーダー
脚本 ダリウス・マーダー、エイブラハム・マーダー
主要キャスト リズ・アーメッド(ルーベン)

オリヴィア・クック(ルー)

ポール・レイシー(ジョー)

『サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ』(2019)の概要

ドラマーのルーベンは恋人ルーとロックバンドを組み、トレーラーハウスでアメリカ各地を巡りながらライブに明け暮れる日々を送っていた。しかしある日、ルーベンの耳がほとんど聞こえなくなってしまう。医師から回復の見込みはないと告げられた彼は自暴自棄に陥るが、ルーに勧められ、ろう者の支援コミュニティへの参加を決意する。

映画.comより引用

『サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ』(2019)のキャストについて考察

リズ・アーメッド

冒頭で恋人ルーに「ジェフ・ゴールドブラムがお父さんだと言われても驚かない」というジョークを言っていますが、めっちゃ似てます、ジェフ・ゴールドブラムに。

パキスタン系イギリス人であるリズ・アーメッドは、オスカー賞の主演男優にノミネートされた初めてのイスラム教徒です。

歴史的なことです!

最近では『ナイト・クローラー』に続き『ゴールデン・リバー』でジェイク・ギレンホールと共演していましたね。

本作では役作りの為7カ月ドラムの特訓をし、手話を習い、耳が聞こえないシーンではサウンドブロッカーを使って耳が聞こえない状態で演じていたそうです。

ルーベンの焦燥感や絶望、ラストの安らぎの表情を見るとノミネートされた理由が分かります。

オリヴィア・クック

スティーブン・スピルバーグ監督の『レディ・プレイヤー 1』に抜擢されたイギリス人女優。

彼女は存在感のある役者ですが、今回は脇に徹しています。

ルーベンの彼女でバンドのボーカルを担当していて、トレーラーハウスで各地をツアーで巡っている。

母親を亡くしたことで父親を恨んでいるが、ルーベンが施設で暮らすことをきっかけに父親と暮らし始める。

ポール・レイシー

支援コミュニティの施設運営者ジョーを演じているポール・レイシー。

この映画で初めて知りました。

自身の両親がろう者の為、手話を使えるそうです。

ジョーの笑顔と、優しくて厳しい言葉は、ルーベンの心の準備ができたときに、沁みわたってきます。

ジョーはルーベンのために、大切なことを伝えつづける。

ルーベンがもがきながら進んだ自分の人生の大きな岐路に、希望を失うことなく立てたのはジョーの言葉のおかげだと思う。

名演です!

『サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ』(2019)の感想

胸にずっしりと重いものがのしかかって消えてくれない。

心の静寂を手に入れたというラストなのに。

『ノマドランド』を観た時、その映像体験に度肝を抜かれたけど、『サウンド・オブ・メタル』もまた、私たちには知り得ない世界を体験させるという未だかつてない作品です。

冒頭からガツンと鳴り響く爆音にぐいぐい引っ張られ、その勢いのまま急速にルーベンの聴力が失われていく

音楽と共に生活しているルーベンから音が奪われ、ルーベンが感じる焦りや怒りを彼の視覚や聴力を通して私たちに伝える。

他の人に取り残されてしまうのではないか、元の生活に戻れなくなるのではないか、昨日までの日常を手放すことが出来ない、何かしていたい、誰かの役に立ちたい、必要とされたい、なぜ俺が、なぜ今。

頭の中でそればかり考えてしまう。

焦りからインプラント手術を受け、全て解決すると思っていた問題は何一つ解決しなかった。

再会したルーが、父親のピアノに合わせて歌う。

その音は歪んでいて不快なものだった。

その後に訪れる二人の別れを暗示しているように。

ルーベンに残ったのはサウンド・オブ・メタル(金属音※インプラント後に聞こえる音)。

ルーベンは全てやって、やれる限りやったことで喪失感ではなく、静寂と平穏、新しい自分の未来を手に入れた

『サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ』(2019)まとめ

ぐいぐい惹き込まれました。

ルーベンの聴覚が衰えた時、私たちも驚き、彼が焦っているときに焦り、彼が平穏を得たところで涙する。

恐ろしいほどの一体感を得ることが出来ました。

この映像体験は何と形容したらいいんだろう。

聞こえる側と聞こえない側の世界。

しかしどちらの世界も同じあり、ジョーが言う「難聴はハンデではなく、治すものではない」というセリフが胸に響きました。

ラストのルーベンの表情は、彼があがいた全ての行動があってこそ出てきた表情なんだろうな。

ジョーの言葉が彼の心にぴったりとはまった瞬間だと思いました。

色んな方が「是非ヘッドホンを付けて鑑賞してください!」と言っているように、非常に「音」が重要な作品です。

劇場で観たかったけれど、鑑賞者がヘッドホンや良質なスピーカーでこの映画を観ることが出来るというのは配信ならではです。

とにかく見て感じて欲しい。

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