
【花子的評価】
ろくでなしのシングルマザーが心から求めるものは一体何だったのでしょうか?
ジェシー・バックリーの魅力満載のイギリス映画『ワイルド・ローズ』(2018)
ネタバレをしつつ感想を書いていきます!
Contents
『ワイルド・ローズ』(2018)作品情報

© Three Chords Production Ltd/The British Film Institute 2018
製作年 | 2018年 |
原題 | Wild Rose |
製作国 | イギリス |
上映時間 | 102分 |
ジャンル | ドラマ、音楽 |
監督 | トム・ハーパー |
脚本 | ニコール・テイラー |
主要キャスト | ジェシー・バックリー(ローズ)
ソフィー・オコネドウ(スザンナ) ジュリー・ウォルターズ(マリオン) |
『ワイルド・ローズ』(2018)の受賞歴

© Three Chords Production Ltd/The British Film Institute 2018
ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞(インディペンデント映画トップ10 受賞)
放送映画批評家協会賞(歌曲賞(GLASGOW) 受賞)
英国アカデミー賞(BAFTA)(主演女優賞(ジェシー・バックリー) ノミネート)
第92回 米アカデミー賞(主題歌賞(GLASGOW) ショートリスト)
ジョージア映画批評家協会賞(主題歌賞(GLASGOW) 受賞)
ニューポート・ビーチ映画祭(主演女優賞(ジェシー・バックリー) 受賞)
『ワイルド・ローズ』(2018)予想結果

© Three Chords Production Ltd/The British Film Institute 2018
『ワイルド・ローズ』(2018)予想太郎の予想をおさらい
公開前に予告をじっくり見た、予想太郎の予想は以下の通りです。
…一度も予想が当たらない予想太郎の予想を見るのが苦痛になってきた人手を挙げて!
結末から言うとローズは自分の夢も、愛する家族も手に入れます。
本作は夢を叶えて有名になることではなく、「女性が夢を叶えること」というテーマだったんです。
精神的に幼いローズが、本当に大切なことに気づく展開に目が離せなくなります。
パンフレットが製作されていなかったということが本当に残念でした。
日本人から見てスコットランドのグラスゴーがどういう場所なのかちょっとわかりにくかったので、パンフレットで補完できたらなーって思いました。
『ワイルド・ローズ』(2018)内容【ネタバレあり】
シングルマザーのローズは自分の歌に自信があり、夢をつかもうと10年もバーでカントリーミュージックを歌ってきました。
でも地元で歌手として成功する方法が分からないんです。
不器用というより、自分のいる世界以外を知らないんです。
若くして子どもを産んで、さらに夢は遠のく。
犯罪も犯してしまったので前科持ち。
ローズはやんちゃで幼稚でどうしようもないんですよね。
掃除人として働く家でお酒を飲んだり、自分の夢を叶えるために当然のように雇い主にお金をせびったり。
ローズはスコットランドのグラスゴーでカントリーを歌っているんですが、カントリーの本場であるアメリカのナッシュビルでしか夢は叶わないと思っています。
雇い主には子どもがいることや前科があることを黙っています。
夢を叶えることへの障害だと思っている節があります。
そりゃ子どもとの距離埋まらんわ…。
そこでローズの母親のマリオンが「子どもがいることを認められないなら、あんたはそれまでや」と、突きつけるんですよ。
それを聞いてローズは「違う、夢を叶えたら子どもも幸せになれるねん、子どもたちにはそれまで我慢してもらうしかない」という気持ちと「そうかもしれん」という気持ちがせめぎあうんです。
結局ローズは子どもたちとの生活を選ぶんですが、見るからに元気がなくなっていくんです。
ショボーンです。
見かねたマリオンはローズに「責任は持ってほしいけど希望は捨てたらあかん。私は夢を叶える力がなかったけど、あんたにはあるねんから!」と、パン屋で働いて稼いだお金をローズに渡します。
一度は諦めた夢を叶えるために、マリオンから受け取ったお金を持って、カントリーの本場であるアメリカのナッシュビルへ向かいます。
憧れの土地には、世界中からカントリーミュージシャンになる夢を持った人たちが集まっています。
カントリーミュージックの聖域といわれるライマン公会堂で、ローズは一人、歌います。
その後のローズの表情はきっぱりさっぱりしていて、夢を叶えるのはナッシュビルである必要がないことに気づきます。
自分で曲を作ったこともギターを弾いたこともないローズが、オリジナル曲を大勢の観客の前で歌います。
母への気持ち、子どもたちへの気持ち、忌み嫌っていた故郷への気持ちを歌にして、堂々と。
不器用で「ありがとう」や「ごめん」を言うことができなかったローズは、大切な家族がいるグラスゴーで、これからも歌い続けます。
『ワイルド・ローズ』(2018)ネタバレ花子の感想
結局ローズは夢の叶え方を知らなかったというより、自分の才能に自信がありつつも現実逃避していたのではないでしょうか。
「ナッシュビルでしかカントリー歌手になれない」「子どもがいることを知られたくない」「前科はあるけど私は悪くない」
今までうまくいかなかったのは言い訳を繰り返し、本当の自分に向き合うことができなかった結果です。
でもローズは素晴らしい才能を持っています。
歌うシーンはいつも光がさしていて、歌う喜びに溢れています。
ジェシー・バックリーの声はとてものびやかでどっしりしていて素晴らしい。
死ぬまでに生で歌を聴きたい。
母親のマリオンが自分と向き合い「自分で夢を叶えるより子どもに託したほうが楽だった」とローズに告白したことで、ようやくローズも自分と向き合うことができたのです。
なんて不器用な母娘。
ホロリ。
ジェシー・バックリーは演技も歌も素晴らしくて顔もいい!
スター性があって今後の彼女の活躍が楽しみで仕方ありません!
ですが、本作の魅力はジェシーだけではありません!
本作がより素晴らしい作品になったのはジュリー・ウォルターズの抑えた演技があってこそです!
いい映画に出会えて本当に良かった!
『ワイルド・ローズ』(2018)主題歌"GLASGOW"について解説

© Three Chords Production Ltd/The British Film Institute 2018
本作の主題歌"GLASGOW"は、ローズが選んだ道を表しています。
ローズが生まれ育った町グラスゴーは、カントリーの本場アメリカのナッシュビルから遠く離れたスコットランドにあります。
「グラスゴーでカントリー歌手なんて笑っちゃうー」と言っていたローズは、もうそこにはいません。
作曲もギターも弾かずに歌手になりたいと言っていた、あのローズはいないんです。
自分の歌を、自分の言葉で紡いで自分で演奏するのです。
不器用ながらも愛し合いう母娘は、ハグをすることすらあまりありません。
「ありがとう」や「ごめん」、「愛してる」と言えなかったローズからマリオンへの愛の曲。
ラストで互いに心を通わせるローズとマリオンの表情はとても温かく、そして希望に満ちていました。
『ワイルド・ローズ』(2018)サウンドトラック
冒頭の刑務所から出所するシーンで使われている「Country Girl」は、グラスゴー出身のバンド、プライマルスクリームの同名曲をアレンジしたもの。
ワクワクするようなサウンドは、ローズの音楽への情熱と、出所して家族に会える喜びが伝わってくるようです。
ジェシー・バックリーは、本作のサウンドトラックですべての曲を自身で歌っているほか、"ALRIGHT TO BE ALL WRONGG(THE DREAMER'S SONG"、"CIGARETTE ROW(FIVE O'CLOCK FREEDOM)"、"THAT'S THE VIEW FROM HERE(FAMOUS FOLK ARE WEIRD)"の作詞にも携わっています。
「ローズを演じる以前はカントリーの曲を聴いたことがなかった」とインタビューで答えていましたが、そうとは信じられないほど作詞にも歌声にもカントリーが染み渡っています。
ジェシーのソウルフルな歌声は、まるでジャニス・ジョプリンのよう。
サウンドトラックの収録曲を以下にまとめました。
1 Country Girl
2 Outlaw State Of Mind
3 Born To Run
4 Peace In This House
5 Angel From Montgomery
6 Alright To Be All Wrong (The Dreamer's Song)
7 When I Reach The Place I'm Going
8 Cigarette Row(Five O'Clock Freedom)
9 Glasgow (No Place Like Home)
10 Robbing The Bank Of Life (Stealing The Night)
11 That's The View From Here (Famous Folk Are Weird)
12 Boulder To Birmingham
『ワイルド・ローズ』(2018)主演のジェシー・バックリーの今後の展開

© Three Chords Production Ltd/The British Film Institute 2018
飛ぶ鳥を落とす勢いの若手女優、ジェシー・バックリーは今後どのような作品に出演予定なのでしょうか。
過去作もまとめてお知らせします!
ジェシー・バックリーが世界的に知られるようになったきっかけは、レネー・ゼルウィガーがジュディー・ガーランドを演じた『ジュディ 虹の彼方に』(2019)でした。
ロンドン公演のマネージャーとして、ジュディー・ガーランドを絶妙な距離感で見守る演技で花子の心をわしづかみ。
更にHBOドラマ『チェルノブイリ』で、被爆した消防士の妻役を演じて話題になりました。
『チェルノブイリ』はチェルノブイリ原発事故にかかわる人たちの決断や隠ぺい、訳も分からずに亡くなっていく人たちの姿をまざまざと描いた良質のドラマです。
最近ではロバート・ダウニー・Jr.主演の『ドクタードリトル』(2020)で女王陛下役を演じていました。
びっくりするぐらい出演シーンは少なかったですが威厳ある人物をしっかりと演じていました。
①『ファーゴ シーズン4』…人気ドラマシリーズの第4弾。放映は未定。
②『Misbehaviour 』…キーラ・ナイトレイ主演のコメディ。タイトルの意味は"不正な"、"邪悪な"という意味!気になる!
③『I'm Thinking of Ending Things』…『マルコヴィッチの穴』『エターナル・サンシャイン』のチャーリー・カウフマン監督作品。
イアン・リードのベストセラー小説の映画化。
花子はNetflixでリマインドしました!(2020.6.27時点で配信日未定)⇒2020年9月4日配信予定!!邦題は「もう終わりにしよう。」
はっきり言うけど全部面白そうよね!
『ファーゴ』シリーズはキャリー・クーンやアリソン・トルマンなど女性の活躍が目立つ作品なので、ジェシー・バックリーがどのような役でどのような演技をするのか楽しみです!
今後もジェシー・バックリーから目が離せません!!