ジム・ジャームッシュを好きにならずにいられない『ナイト・オン・ザ・プラネット』(1991)ネタバレ感想
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なんでもない日常が愛おしい

『ナイト・オン・ザ・プラネット』(1991)の感想、解説をしていきます!

『ナイト・オン・ザ・プラネット』(1991)の評価

項目 評価
知名度
配役/キャスト
ストーリー
物語の抑揚
何でもない日常度
おススメ度


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『ナイト・オン・ザ・プラネット』(1991)の作品情報

製作年 1991年
原題

Night on Earth

製作国 アメリカ
上映時間 129分
ジャンル ドラマ、コメディ
監督、脚本 ジム・ジャームッシュ
音楽 トム・ウェイツ
主要キャスト ジーナ・ローランズ(ヴィクトリア)

ウィノナ・ライダー(コーキー)

ロベルト・ベニーニ(役名)

ベアトリス・ダル(全盲の乗客)

『ナイト・オン・ザ・プラネット』(1991)の概要

ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキの5つの都市で同時刻に走るタクシーで起きる物語をオムニバスで描く、ジム・ジャームッシュ監督作品。大物エージェントを乗せる若い運転手、英語の通じない運転手、盲目の女性客と口論する運転手、神父相手に話し出したら止まらない運転手、酔っ払い客に翻弄される運転手。地球という同じ星の、同じ夜空の下で繰り広げられる、それぞれ異なるストーリーを描く。ウィノナ・ライダー、ジーナ・ローランズ、ロベルト・ベニーニら豪華キャストが集結。

映画.comより引用

『ナイト・オン・ザ・プラネット』(1991)の感想

30年前の映画でしたか。

TSUTAYAでビデオをレンタルしたのは20年以上前のこと。

若い私には何となくおしゃれな映画だったなという感想しかありませんでした。

しかし『JIM JARMUSCH Retrospective 2021』という素晴らしいイベント(?)が全国で行われることになり、地元の劇場でもジム・ジャームッシュの過去作品が上映されたので、この度劇場で鑑賞することが出来ました!

若いころには気づけなかったことがたくさん発見できて、鑑賞後は現実のいろんなことがきれいさっぱり忘れられ、心が満たされるという不思議な映画体験となりました。

夜の上映だったから余計に余韻が心地よかったです。

何とも表現しがたい贅沢な時間でした。

1話目 LA編 見どころ

前はジーナ・ローランズ目当てで観ました。

ジーナ・ローランズカッコいいですよね!

『グロリア』や『こわれゆく女』で知られている素晴らしい女優です。

LA編は簡単に言うと映画に起用する新人女優を探すキャスティング・ディレクター、ヴィクトリア(ジーナ・ローランズ)が、若い女性タクシー運転手コーキー(ウィノナ・ライダー)と出会って、彼女と話すうちに「彼女こそが次の映画スターだ!」と考えるというお話。

二人ともタバコを吸うんですけど、若いウィノナの吸い方と、セレブなジーナ・ローランズの吸い方の違いが面白い。

20年前に観た時にはわからなかったんだけど、今回はこの二人がめちゃくちゃ自立した女性だと気づきました。

「女性の自立」なんて意味も分からなかったあの頃の私...。

新人女優に抜擢されても「自分の人生の道は決めていて、その通りに進んでいるから」と断るコーキー。

ちゃらちゃらした若者だなぁと思わせておいて、芯がしっかり通った人物なんですよね。

誰もがしっぽを振って喜ぶような話だと思っていたヴィクトリアは驚きます。

コーキーにきっぱりと断られ、それを受け入れるジーナ・ローランズもいい。

自分の価値観を人に押し付けることはできないし、自分の世界の狭さを思い知った瞬間でしょう。

自分の人生を自分で決断する二人の女性がとにかくカッコいい物語でした。

ウィノナ演じるコーキーの口癖「You know?」が可愛いくてヴィクトリアの「Shut up!」が素敵。

2話目 NY編 見どころ

ブルックリンに帰りたいだけなのにタクシーが捕まらない黒人のヨーヨー。

30年前なので肌の色が乗車拒否の理由かと思ったけど、距離が近すぎることが原因か?

結局めちゃくちゃ運転が下手な東ドイツ移民のヘルムートが運転するタクシーを捕まえ、ヨーヨーの運転でブルックリンへ向かいます。

車内で会話を交わすうちに心を通わせる二人。

ヨーヨーの義妹(ロージー・ペレス!)も途中から参加し、ヘルムートは家族の騒がしくも温かい光景を目にします。

祖国を捨て、夢を抱いて来たアメリカ ニューヨーク。

二人と別れた後は温かい気持ちになって未来も明るいと思っていたけど、道を一本間違えるとアメリカの抱える問題が眼前に広がり、ヘルムートの気持ちも不安でいっぱいになるのです。

3話目 ローマ編

夜中のローマ。

一方通行を逆走したりやりたい放題のタクシー運転手。

ロベルト・ベニーニの真骨頂。

しゃべるしゃべる、まだまだしゃべる。

全編通してしゃべりっぱなし。

ほんとに司祭様お気の毒。

あんなに盛り上がって懺悔する人いるんだろうか。

てかタクシーで懺悔しなさんなよ!

ベニーニってどことなくサム・ロックウェルと似てますね。

4話目 パリ編

冒頭で乗客から差別的発言をされて切れた運転手は、乗客をその場で降ろします。

怒りのせいで乗車賃を請求することも忘れてしまいイライラ。

大人しそうな人間を選ぶタクシー運転手が乗せたのは、盲目の女性。

差別を受けた人間と思えぬ差別的思考で客を選ぶところが何とも言えません。

悪い人間ではないのですが、盲目の女性に不躾な質問を続ける運転手は最後事故を起こし、相手から「お前盲目なのか?!」と言われます。

それを聞いてニヤリとする女性。

見えてないのはどっち?

ベアトリス・ダルのキャラクター、演技力にも惹きつけられました。

5話目 ヘルシンキ編

タクシーの運転手の名前が「ミカ」で、泥酔した男が「アキ」という名前。

カウリスマキ兄弟への敬愛の表れかな?

雰囲気もばっちりカウリスマキ風。

ミカを演じたのはマッティ・ペロンパーというフィンランドの俳優です。

味があって好きだな、と彼の事を調べたら、44歳の若さで心臓発作でお亡くなりになったそうです。

ドキュメンタリー映画を作られるなど、フィンランドで今でもとても愛される俳優です。

この作品掴みが最高なんですよ。

泥酔した3人のタクシー待ちの姿!

心を掴まれること間違いなし!

その後のミカの不幸話にも心を動かされます。

アキの友達同様、私もミカの肩をたたいて励ましたい気持ちになりました。

あっという間にアキへの同情が消え去る友人たちのドライさが楽しい。

タクシーから降ろされたアキが感じたヘルシンキの寒さも伝わってきます。

夜が明け、いつものような日常がまた始まる

観客に「頼む!ベニーニのタクシーから降ろしてくれ!」と思わせてからのヘルシンキ編という流れも完璧でした。

『ナイト・オン・ザ・プラネット』(1991)まとめ

この広い世界で、見知らぬ誰かと「今」を共有する。

タクシー運転手と乗客はそんな時間を共有する特別な関係です。

エンドロールで流れるトム・ウェイツのしゃがれボイスが沁みわたります

夏の夜、私の他にお客さんは30人ぐらいいました。

みなさんどこの誰だか存じませんが、上映終了後は「いい映画を観たね」という視線をかわしつつ劇場を後にしました。

 

30年たった2021年でも全く色あせない作品。

ジム・ジャームッシュは生き急ぐ現代人に、「この瞬間を楽しんで」というメッセージを今も届け続けています。

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