【地味だけど監督の手腕が光る作品】『ミナリ』(2020)ネタバレ感想
Photo by Melissa Lukenbaugh, Courtesy of A24

普遍的な家族の物語

オススメ度 ★★★★☆

スポンサーリンク

『ミナリ』(2020)の作品情報

製作年 2020年
原題 미나리/Minari
製作国 アメリカ
上映時間 116分
ジャンル ドラマ
監督 リー・アイザック・チョン
脚本 リー・アイザック・チョン
主要キャスト スティーヴン・ユァン(ジェイコブ)

ハン・イェリ(モニカ)

ユン・ヨジョン(スンジャ)

アラン・キム(デビッド)

『ミナリ』(2020)の感想

見せ方が面白い。

構図が素晴らしい。

アメリカ=デビッド  移民=おばあちゃん

ストーリーを丁寧に見せつつ、さらにその縮図を子どもとおばあちゃんの関係を使って、観客に分かりやすく見せてくれました。

リー・アイザック・チョン監督の他の作品は知りませんが、彼の作品にとても興味を持ちました。

ハリウッド版『君の名は。』の監督に抜擢されており、映画界で注目されている人物です。

デビッドが面白可愛すぎると思ったら監督の自伝的な要素が含まれた映画だったのね、納得。

一家族全体を映し出している中で、デビッドの描写は特に鮮明で、生き生きしていたから。

デビッドとおばあちゃんの戦いのシーンは全部おもしろい!

立膝ついて悪態をつきながら花札をする、おばあちゃんらしさのかけらもない韓国の匂いがするおばあちゃんを敵視するデビッド。

おばあちゃんは、なんていうか無敵なのでデビッドにおしっこを飲まされても(デビッドにお仕置きさせまいと)「楽しかったよ!」と言ってフォローしてくれます。

変な英語を使って、大きくて大雑把な愛で家族を包んでくれるのです。

アカデミー賞助演女優賞にノミネートされたのは心から納得できる。

『ヒルビリー・エレジー』のグレン・クローズと一騎打ちかな?!

アメリカと移民の関係

自由や夢を求めて世界中の人がアメリカ大陸に渡り、それが現在のアメリカを作っている。

移民の国アメリカ。

韓国移民のジェイコブ一家がなんとかアメリカで頑張って根を張って生きていこうとするけど、様々な困難が彼らに襲い掛かります。

そのたびに夫婦はぶつかり、再生する。

この映画の面白いところは、やはりデビッドとおばあちゃんの関係です。

デビッドが子どもならではの残酷さで、突如家族の仲間入りしたおばあちゃんを排除しようとする。

韓国から助っ人としてやってきたおばあちゃんは、アメリカで生まれ育ったデビッドから見たら、他の国からやってきた移民そのもの。

デビッドが拒絶しても、いつの間にかおばあちゃんの存在はしっかり一家に馴染んでいく。

デビッド自身もおばあちゃんの影響を受け、少しずつ家族になっていく。

たっぷりのユーモアを交えながら

その姿はまるでアメリカという大地にしっかりと根付いていく移民のようで、これが監督の手腕なのか!と驚かされました。

「ミナリ」と家父長制

タイトルになっている「ミナリ」とは「セリ」のこと。

水さえあればどんなところでも根付く多年草です。

セリは2度目の旬が最もおいしいことから、子供世代の幸せのために、親の世代が懸命に生きるという意味が込められていると言います。

家族のためと言いながら、自分のために農業を成功させようと奮起する父親。

家族に相談することなく勝手に家を買ったり農業を始めたり、家父長制の極みです。

ジェイコブとモニカはヒヨコの性別を判別する仕事をしています。

雄は卵を産まないし美味しくないから廃棄される運命だそう。

ジェイコブは、自分は役立たずではないということを証明したいと思って必死に成功しようとしているのではないかなと思いました。

モニカには自分のために農業をやっていると言われたけれど、子どもに証明したかったのではないか、子どもに成功するものを残してあげたかったのではないかと思いました。

『ミナリ』(2020)まとめ

1980年代、夢を求めてアメリカにやってきた韓国移民の話だけれど、物語の核となるのは家族の話であり、親から子への愛です。

人種が違ってもそれは普遍的なものであり、誰もが共感できるのです。

この作品が世界で評価される理由の一つは、ラストに映し出される「全ての祖母に捧ぐ」の言葉が大きいのではないでしょうか。

あれはずるい!

『フェアウェル』の冒頭で流れる「実際にあった嘘に基づく」というテロップも素敵でしたね。

こういった小技を使うことで、観客の心に伝えたいことがしっかりと残る作品となるんだなと思いました。

スポンサーリンク
おすすめの記事