
“メハル”の精神と、自分自身の可能性を感じさせる希望ある作品。
『サンドラの小さな家』(2020)の感想、解説をしていきます!
『サンドラの小さな家』(2020)の評価
項目 | 評価 |
知名度 |
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配役/キャスト |
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ストーリー |
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物語の抑揚 |
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アイルランド性 |
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おススメ度 |
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サンドラの小さな家(2020)の作品情報
製作年 | 2020年 |
原題 | Herself |
製作国 | アイルランド、イギリス |
上映時間 | 97分 |
ジャンル | ドラマ |
監督 | フィリダ・ロイド |
脚本 | クレア・ダン、マルコム・キャンベル |
主要キャスト | クレア・ダン(サンドラ)
ハリエット・ウォルター(ペギー) コンリース・ヒル(エイド) |
サンドラの小さな家(2020)アイルランド愛たっぷり
アイルランドにある「メハル」という精神についてエイドが話してました。
「みんなが集まって助け合い、結果自分も助けられている」という精神。
素敵やんか!でも現代っ子ぽい男の子が「ナニソレ?」みたいな感じだったから、現代では廃れてきている考えなのかもしれません。
それも脚本・主演のクレア・ダンが伝えたかった事だろうと思います。
サンドラたちが建てた家のカラーが、アイルランドのシンボルカラーの緑っていうのもアイルランド映画であることを前面に押し出しているように感じました。
サンドラの小さな家(2020)のキャスト、監督について考察
フィリダ・ロイド
言わずと知れた『マンマ・ミーア!』や『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』で知られる監督。
映画監督として、というより英国演劇界の名演出家として知られています。
映画監督としては本作が3作目。
舞台に出演していたクレア・ダンの脚本を読んで感銘を受け、主演は彼女にすることを条件として監督を引き受けたそう。
クレア・ダン
本作の脚本&主演を担当したのがクレア・ダンです。
アイルランドの俳優です。
今までその存在を知りませんでしたが、静かな闘志を秘めた演技が素晴らしかったです。
舞台をメインにしているようで、アイルランドでは有名な方なんですね。
子どもたちと遊んでいるシーンは本当にみんな楽しそう。
ていうか子どもたちがめっちゃくちゃかわいかった。
本作が初脚本というからその才能に驚かされるばかりです。ハリエット・ウォルター
イギリスの俳優。
舞台や映画、テレビで大活躍!
大英帝国勲章DBEを受勲し、デイムの称号を持つそうです。
一人だけ群を抜いた演技だったものね。
ペギー先生の言葉や存在にどれだけ助けられたか。
数々の作品に出ているので間違いなく今まで見たことがあるのですが、私の大好きな「名探偵ポワロ」の「鳩の中の猫」という作品に校長先生役で出ていたそうです!
サンドラの小さな家(2020)の感想
考えさせられる映画でした。
物語の強弱がすごすぎる映画でもあった。
ほんわか幸せ気分だったのに両方から同時に頬を殴られるような感じ。
まさか夫に放火されるとは。
サンドラはショックで寝込むけど、他の人たちは立ち上がっていて、娘たちもまた次の家建てる時のために灰から釘を探すんですよね。
サンドラはそんな娘たちを見て再び立ち上がる!!
この作品を作った理由は、「現在困っている人の勇気や希望になれば」ということと、「アイルランドのすばらしさ」を伝えたかったということだと感じました。
放心状態になるほどの絶望からの再建。
どん底になってもまたやり直す力があるという希望の光が見える素晴らしいラストでした。
『ビバリウム』との共通点
(公営)住宅の不足ってどこかで聞いたことあるなと思ったら、先日鑑賞した『ビバリウム』のロルカン・フィネガン監督がインタビューで語っていたのでした。
彼の祖国はアイルランド。
同じ問題を提起しているんですね。
二つの作品を観比べるのも面白いと思います。
『サンドラの小さな家』は真っ向から問題に立ち向かっていて、『ビバリウム』は斬新な手法で問題を提起しています。
サンドラの小さな家(2020)音楽
冒頭から娘たちとサンドラがシーアの"Chandelier"で踊りまくるシーンは幸せいっぱいで胸が高まりました!
その後の出来事が恐ろしすぎて目を覆ってしまったけど。
同じくシーアの"Titanium"や、アイルランドのバンド、クランベリーズの"Dreams”が劇中に流れます。
温かみがある音楽が、サンドラの気持ちを表しているように感じました。
私が聞き入ったのはアイルランド民謡の「Wiskey in the Jar」、クレア・ダンが歌い上げた「オーグリムの乙女」です。
サントラ聴きたいと思ったけど作ってないようですね。
『サンドラの小さな家』(2020)まとめ
何か悪いことをしたわけではないのに家を出てホテル暮らし。
しかもホテル側からも疎まれてロビーは使えない。
それを嘆く映画ではないのが本作の素晴らしい所。
住むとこなかったら作ったらいいやん!という発想。
そんな発想がなさそうな、ちょっと堅物で余裕がなさそうなサンドラがそれを思いついたってところが面白かったですね。
喪失だけで終わらせてたまるものか!という力強いメッセージが込められいて、私たちに勇気を与えてくれます。
娘たちの姿は私たちを笑顔にさせてくれる。
そしてアイルランドの民謡や考え方、神話まで盛り込んでくれたおかげでアイルランドにめっちゃ興味を持ちました。
これは『ウルフウォーカー』も早いとこ観ないと!(AppleTVで)