『私は確信する』(2018)を観て知る「確信すること」の恐ろしさ
(C)Delante Productions - Photo Severine BRIGEOT

臨場感半端ない!でも予告が良すぎた?

オススメ度 ★★★☆☆

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『私は確信する』(2018)の作品情報

製作年 2018年
原題 Une intime conviction
製作国 フランス、ベルギー
上映時間 110分
ジャンル サスペンス
監督 アントワーヌ・ランボー
脚本 アントワーヌ・ランボー
主要キャスト マリーナ・フォイス(ノラ)

オリヴィエ・グルメ(エリック・デュポン=モレッティ)

ローラン・リュカ(ジャック・ヴィギエ)

フィリップ・ウシャン(オリヴィエ・デュランデ)

『私は確信する』(2018)の感想

ネタバレ感想

事件の内容
舞台はフランス。
スザンヌ・ヴィギエという女性が3人の子どもを残して姿を消した。
夫ジャックに殺人容疑がかけられるが、動機がなく、死体も出ていない。
スザンヌには愛人がおり、彼は夫ジャックが犯人であることを確信している。
かーなーり曖昧な事件ですよね。
死体がないのに「殺人事件」として扱われ、疑わしいだけで「殺人容疑」をかけられる夫
これは「殺人事件」として成り立つのか?というレベルですよ、素人の私から見ても。
曖昧なのは事件だけではありません。
容疑をかけられた夫、おしゃべりな愛人、子どもたちのベビーシッターそれぞれの証言が曖昧なんですよ。
みんなが本当のことを証言しているのか確信が持てません。
膨大な通話記録から愛人や、ベビーシッターの嘘も出てくる(犯人という確証はない)けれど、容疑をかけられているジャックの言葉すら(誰かをかばってるんちゃうかと思うほど)あっちへいったりこっちにいったりします。
この物語をパワフルに引っ張ってくれる主人公シングルマザーのノラの存在はフィクション(ちょっとショックだった。いや、かなりショックだった)ですが、彼女の信念こそ監督の思いなのでしょう。
ノラは事件にハマりすぎて視野が狭くなり、物事を決めつけてしまう危ない所もありますが、車に引かれても裁判の行方に夢中な彼女はマーベルヒーローかと見まがうほどパワフルな存在です。
ヒートアップした素人探偵の(?!)ノラに対して伝説の弁護士であるエリック・デュポン=モレッティが「目的は真犯人を探すことではない。被告を犯人にしようとする勢力と戦うことだ」ということを言います。
これですね、監督が伝えたい事は。
愛人であるデュランデは口がうまくおしゃべりな男です。
彼が事件を「スザンヌ失踪」から、マスコミを利用してセンセーショナルな「妻殺し」へと変貌させたのです。
世論がジャックを「妻殺し」の犯人に仕立て、それに警察がのっかったということでしょう。
恐ろしいよ、メディア。
恐ろしいよ、メディアに操られる私たち。
最終弁論で(感動的だけどちょっと長いと感じたけど)「推定無罪の原則」について語る場面が印象的。
被告が周囲に疑われ続けて過ごした10年間を陪審員や、メディアを通して全国民に想像させる力強い語り。
よくよく考えたら動機も証拠も、なんなら死体すらないということに気づけたことでしょう。
全然考えなくても気づけそうなものなんだけどな。
熱く燃え滾るような情熱を貫くノラと、同じ思いを胸に秘めながら冷静に諭す術を持つデュポン=モレッティ弁護士。
彼らの対比がうまく作品のスピード調整をしていたと感じました。
予告では「ヒッチコック狂」とか「完全犯罪」というワードが出てきていたので、事件についてとても興味があったのですが、これは予告の作り方がうまかっただけですね。
ノラの「私は確信する」という気持ちによってジャックは無罪になったけれど、この作品は「確信する」ということの恐ろしさを訴えているのではないかと思いました。
知らず知らずのうちにメディアに操られていたりして。

『私は確信する』(2018)まとめ

主人公ノラはフィクションなのですが、きちんとキャラクターが作りこまれていたことでこの作品がひと際スピード感がある作品に仕上がったなと思います。

シングルマザーのシェフ。

ただでさえ目まぐるしく過ぎる時間に「250時間の通話記録」を調べるというミッションが加わる。

ノラが「確信した」ことのために。

数々の曖昧な情報をこれでもかと観客の私たちに突きつけてくるアントワーヌ監督からのメッセージ、しっかりと受け止められたと思いたい。

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