【過去を手放し未来に生きる】『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』(2019)ネタバレ花子
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サンフランシスコを舞台に、都市開発により取り残されてしまった人たちのリアルな姿を描いたドラマ。

主人公を実名で演じた主演のジミー・フェイルズが10代の頃に体験した自伝的物語で、フェイルズの幼なじみでもあるジョー・タルボット監督が長編初メガホンをとり映画化。サンダンス映画祭の監督賞、審査員特別賞を受賞した。

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『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』(2019)の作品情報

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製作年 2019年
原題 The Last Black Man in San Francisco
製作国 アメリカ
上映時間 120分
ジャンル ドラマ
監督 ジョー・タルボット
脚本 ジョー・タルボット
主要キャスト ジミー・フェイルズ(ジミー・フェイルズ)

ジョナサン・メイヤーズ(モント)

フィン・ウィットロック

『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』(2019)のあらすじ

IT関連企業とベンチャー企業の発展により、多くの富裕層が暮らす街となったサンフランシスコ。この街で生まれ育ったジミーは、祖父が建て、家族との思い出が詰まったビクトリアン様式の美しい家を愛していた。しかし、地区の景観とともに観光名所にもなっていたその家を現在の家主が手放すことになり、家は売りに出されてしまう。ジミーは再びこの家を手に入れるために奔走し、そんなジミーの切実な思いを友人であるモントは静かに支えていた。

『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』(2019)感想

生まれ育った街からつまはじきにされながらも、愛する街にしがみついていた青年は、心のよりどころであったかつて家族で暮らしていた"祖父が建てた家"に再び住むことを諦め、愛する街を離れる決断をするというお話です。

これは私が今まで観たことがない映画だった。

冒頭、環境汚染について演説する人を眺めながら来ないバスを待つジミーとモント。

バスを待ちきれず、スケボーで街を走る二人の映像が素晴らしく美しい

どれだけこの街を愛しているのかが映像から分かる。

こんなに愛しているのに街を離れるしかない、その選択しかないという現実が苦しい。

それに何といっても彼らの関係性と描き方が気に入りました。

『ブックスマート』(2019)を観た時のような衝撃。

私が抱いていた黒人に対するステレオタイプを、ジミーとモントは壊してくれました。

それだけでも観る価値があります!

 

本作ではたくさんの問題を提起しています。

ジミーの日常を淡々と描く、それだけで、現実に起きている数々の問題を突きつけてきます。

その描き方がものすごくさりげないのです。

さりげなすぎて危うく提起している問題に気が付かないところだった。

ジェントリフィケーションが題材なんですよ、みなさん。

といっても私は"ジェントリフィケーション"という言葉すら知らんかったけど。(無知!!)

元々移民や低所得者が暮らしていた土地を都心化し、富裕層向けの住宅を作るということだそうです。

住んでいた低所得者らを立ち退きさせた結果、彼らがホームレスになるなどの問題が起きていて、ジミーもそのうちの一人。

家族がバラバラになり、ワーキングホームレスとなったジミーは子どものころ過ごしていた"祖父が建てた家"が忘れられず、住人がいるのに庭掃除をしたり、ペンキで壁を塗ったりして勝手に手入れしています。

悪い人間じゃないと分かっていたとしても、だいぶ気持ち悪いですね!

彼らのまとう空気がまったりしていたので油断していたけれど、サンフランシスコとが抱える大きな問題を目の当たりにして、まったりした空気がピリピリとした空気へと変貌する。

親友のモントが、過去の幻影"祖父が建てた家"を追い求めるジミーに真実を伝える、その方法に愛がある。

嘘を信じることをやめ、過去を手放したジミーは、これからの人生を自分の足で生きることになるんだろうな。

それでもこの街への愛は変わらないはず。

この街を憎まないで

この一言が全てを表している。

本作と関係ない感想だけど、日本で暮らす私から見れば、急速に経済成長しているサンフランシスコに対して、日本の変わらなさに危機感を覚えます。

伸びしろがありまくりのアメリカって、よくも悪くもやっぱりすごいな。

『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』(2019)みどころ

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ソソソソソーラ・バーチが出てるぅ!!

『ゴースト・ワールド』のイーニドが、気だるげで大人になりきれていないイーニドがサンフランシスコのバスに乗ってるぅ!!!

可愛い顔で「クソな街」とサンフランシスコを罵るイーニド。

あー、まだこじらせている!!

『ゴースト・ワールド』は、ジョー・タルボット監督が影響を受けた作品らしいですね。

でも見どころは美しい映像とカメラワークです。

街への愛が溢れている。

愛がないとこんなに美しく撮れない!(断言)

『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』(2019)まとめ

うっかりすると、大切なものを見逃してしまうような、躍動感のない(褒めてる)映画でした。

昼下がりに観ると寝てしまうであろう作品。(褒めてる?)

家や財産ががなくても、大切なものは心にあるんだから囚われてはいけないというメッセージをベールに包んだように観客にそっと伝える作品。

マイケル・マーシャルが歌う「花のサンフランシスコ」の歌詞とは真逆の衰退した街を目にしてジミーの気持ちに寄り添い、親友や友達の愛で心が満たされる作品です。

観終わってからじわじわとくる味わい深い作品でした。

今後もプランB×A24の製作する映画は見続けようと心に決めました。

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