この作品を見逃すな!ヘイリー・ベネット覚醒!『SWALLOW/スワロウ』(2019)ネタバレ花子の感想
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女性の自立を描いた傑作

主演のヘイリー・ベネットが製作総指揮も兼任した『SWALLOW/スワロウ』(2019)。

異物を飲み込む恍惚とした表情の裏に隠された女性の孤独をじっくりと描いた異色のスリラー

型破りなアプローチで現代社会の問題を提起した本作は、個人的に2021年のベストに入ると思います。

『SWALLOW/スワロウ』の感想、解説をしていきます!

『SWALLOW/スワロウ』(2019)の評価

項目 評価
ヘイリー・ベネットかわいい度
配役/キャスト
ストーリー
物語の抑揚
意外性
おススメ度
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『SWALLOW/スワロウ』(2019)の作品情報

製作年 2019年
原題 Swallow
製作国 アメリカ・フランス合作
上映時間 95分
ジャンル サスペンス、ドラマ
監督 カーロ・ミラベラ=デイビス
脚本 カーロ・ミラベラ=デイビス
主要キャスト ヘイリー・ベネット(ハンター)

オースティン・ストウェル(リッチー)

『SWALLOW/スワロウ』(2019)の概要

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完璧な夫、美しいニューヨーク郊外の邸宅、ハンターは誰もが羨む暮らしを手に入れた。ところが、夫は彼女の話を真剣に聞いてはくれず、義父母からも蔑ろにされ、孤独で息苦しい日々を過ごしていた。そんな中、ハンターの妊娠が発覚する。待望の第一子を授かり歓喜の声をあげる夫と義父母であったが、ハンターの孤独は深まっていくばかり。ある日、ふとしたことからハンターはガラス玉を呑み込みたいという衝動にかられる。彼女は導かれるままガラス玉を口に入れ、呑み下すのだが、痛みとともに得も言われぬ充足感と快楽を得る。異物を“呑み込む”ことで多幸感に満ちた生活を手に入れたハンターは、次第により危険なものを口にしたいという欲望に取り憑かれていく…。

『SWALLOW/スワロウ』公式ホームページより引用

『SWALLOW/スワロウ』(2019)のキャスト、監督について

ヘイリー・ベネット

2007年にヒュー・グラントとドリュー・バリモア主演の『ラブソングができるまで』で映画デビュー。

かつては歌手としても活動していました。

近年『マグニフィセント・セブン』や『ガール・オン・ザ・トレイン』などの話題作に出演し、じわじわと活躍の場を増やしており、2020年は『悪魔はいつもそこに』や『ヒルビリー・エレジー』と立て続けに出演した彼女が、満を持して遂に主演を演じることになったのが本作『SWALLOW/スワロウ』です。

本作ではほとんど全編通して出ずっぱりです。

製作総指揮まで兼任するという力の入れよう。

今後予定されている作品は、ヘイリーのパートナーでもあるジョー・ライト監督作の『シラノ(原題)』です。

有名なミュージカル『シラノ・ド・ベルジュラック』を元にしたミュージカル舞台作品の映画化です。

ってことは!!

またヘイリーの歌声を聴けるかもしれません!

ワクワクが止まりませんな!

カーロ・ミラベラ=デイビス/監督

本作が長編監督デビューとなったカーロ・ミラベラ=デイビス。

繊細で無駄のない素晴らしい作品を作りました。

上映劇場が少ないのが残念でなりません。

万人に勧められる映画ではないですが、思わぬ拾い物をした嬉しさがありました。

本作は自身の祖母の話から着想を得たそうです。

1950年代は今のように男女平等なんて声を上げる人は殆どいませんでした。

女性は結婚すると専業主婦になることが多く、孤独に悩まされた監督の祖母は手洗い石鹸や消毒依存症となってしまったそうです。

そんな祖母を祖父は精神病院に入れてショック療法、最終的にはロボトミー手術まで行ったというから恐ろしい。

精神病に対する治療法がなかった時代とはいえ、自分の祖母がロボトミー手術受けたとかビビる。

 

この作品は監督から祖母や祖母のような思いをした人たちへ向けたメッセージなんだろうな。

ラストの決断や、それによって彼女が「自分」を取り戻すことができたことは、きっと今苦しんでいる誰かの希望になると思います。

これからも素晴らしい作品を作ることは間違いなさそう!

『SWALLOW/スワロウ』(2019)の感想

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はじめに言っておきますけど、本作は「異食症」の物語ではありません。

あらすじにミスリードされてます。

今頃配給会社はほくそ笑んでるのかもしれません。

でももっと宣伝変えたらもっと上映劇場増えたんちゃうか?!とも思います。

アメリカでは賛否両論で、結末については大論争がおきたそうですよ。

そりゃそうやろな。

ラストの決断が中絶やもんな。

ものすごい問題作やんか。

この作品は現代社会(というか、未だにというか)における女性の立場を少ない台詞と音楽で明確に伝えています。

前半殆ど音楽を使わないことで、巨大な屋敷にたった一人で夫の帰りを待つだけのハンターの孤独が描かれます。

 

超お金持ち(語彙力!)の家に嫁いだハンターは何不自由なく暮らすことができて幸せねー。

ただの販売員が見初められてシンデレラストーリーさながらねー。

 

とか思った人って感覚が危険だと思う。

昔は家を繁栄させるために女性は貴族の家に嫁がされる時代でした。

でも20世紀の現代社会でもそういう感覚ってあるんやなー。

しかもそれはずーっと受け継がれていくんやろうな。

夫の家族全員がそう信じ切っているんだもの。

自分という存在を「個人」として見られないということは、想像しただけで本当に恐怖。

ただ子孫を繁栄させるための「物」として扱われている、しかも悪気なく。

逆に欲しいわ、悪気。

 

物語が大きく動くのは「異食症」が発覚した後、セラピストに自身の隠された生い立ちを話すシーンからです。

セラピストに母親がレイプされたことで自分が生まれたという生い立ちを淡々と話し「もう吹っ切れたの」という表情を見せるあたりから狂気がちらりと見えて、今まで私たち観客に見せていた顔は作られたものだったのだと気づかされます。

ヘイリー・ベネットの演技力にビビらされました。

 

前半はただのお人形としか思えなかった、自分の感情や意見なんかまるでないようなハンターが覚醒していく姿が素晴らしかった。

でもなんでレイプによって生まれたことを母親に知らされたんやろう。

相当意地悪なんちゃう、母親。

ハンターは「義父は良い人。妹たちともうまくやってる」と言ってたけど、家族おったんや?!と思うほど家族の気配なかったし。

逃亡中に母親に電話する短いシーンですべての謎が解けた感じでしたね。

あのシーンは思い出すだけで胸が締め付けられる。

電話に出たときは優しいお母さんだと思っていたのに最後には「妹の子どもが来ていて部屋がない」と拒絶する冷たい声。

ハンターはずっとずっと親からも自分を認めてもらえずに生きてきて、自分は生まれてはいけない人間だと思わされてきたんだろう。

敬虔なクリスチャンだから「中絶」ができなかったから、レイプされたことで出来た子供を産む。

これは正しいのか。

自分の問題の根源である父親と対峙する場面はハラハラしながら観てたけど、「自分は父親と同じではない」と思えたことで、ようやく本当の自分の人生を歩むことができたのです。

ハンターはたった一人で問題を乗り越えたんです。

それってすごいことですよ。

あんな環境で育って、悪気はないとはいえ人を人として扱わない家に嫁ぎ、元々なかった「自分」という概念が消え去ってしまう状況を彼女は打破したのです。

ラストの彼女の表情を観たら「人形」ではなくなっていましたね。

誰からも愛されなかったけれど、自分を愛することができて初めて自分の人生が始まる

どんな困難が待ち受けているかは分からないけれど、自分の力で立ち上がることができた彼女の未来は明るいと信じたい。

『SWALLOW/スワロウ』(2019)パンフレット情報

残念ながらパンフレットは製作されていません。

かなり面白かったので、監督の話とか読みたかったなー。

公式ホームページで上映劇場を確認したとき、あまりの上映劇場の少なさに驚愕しました。

鑑賞後「これはもっとたくさんの人が観るべき映画だ!」と思ったので、本当に残念。

口コミで拡大公開にならないかしら。

 

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