【ピュー子の隠しきれない魅力】『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019)ネタバレ花子の感想
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『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019)が満を持して2020年6月12日金曜日に公開されました!

四姉妹がいきいきとした姿が素晴らしく、グレタ・ガーウィグは「若草物語」が時代を超えても愛される作品であることを改めて証明しました。

女って楽しい!

私、ネタバレ花子が、感想と考察をしていきます。

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『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019)の作品情報

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製作年 2019年
原題 Little Women
製作国 アメリカ
上映時間 135分
ジャンル ドラマ
監督 グレタ・ガーウィグ
脚本 グレタ・ガーウィグ
主要キャスト シアーシャ・ローナン(次女:ジョー)

エマ・ワトソン(長女:メグ)

フローレンス・ピュー(四女:エイミー)

エリザ・スカンレン(三女:ベス)

ティモシー・シャラメ(ローリー)

ローラ・ダーン(母)

メリル・ストリープ(マーチ叔母さん)

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019)のあらすじ

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19世紀のアメリカ、ボストン。

長女ベスと次女のジョー、三女のベスと四女のエイミーの個性豊かな四姉妹がいた。

長女ベスは控えめで結婚が女の幸せと信じていて、三女のベスは病弱だが芯が強く、四女のエイミーはおしゃれにしか興味がない。

次女のベスはローリーという青年に出会い、心惹かれていくが、自身の「小説家になる」という夢が叶わなくなると思い身を引く。

自分の夢を追うため、単身ニューヨークへ渡る。

 

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019)の感想【ネタバレあり】

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素晴らしかった!!素晴らしかった!!

ジョーが、メグが、ベスが、エイミーがとってもいきいきとしているんです!

走って、喧嘩して、踊って、ピアノを弾いて、原稿を燃やして!?

子ども時代の4姉妹は、毎日がキラキラしていて、喧嘩をしながらもお互いを尊重してしっかりと絆を築いています。

でもね、大人になるにつれて、それぞれの考える形で幸せを求めて姉妹はバラバラになってしまうんです。

ベスが亡くなって、バラバラになった姉妹はまた一つに戻るんですけどね。ベスの死は堪えました。

他の姉妹の心の支えになっているだけじゃなくて、ローリーのおじいさん(クリス・クーパー!!)にも寄り添います。

若草物語が優れているのは、メグもジョーもエイミーも妥協せずに自分の幸せを掴むところです。

終盤「結婚することだけが女の幸せじゃないと思うけど、ときどきとっても孤独を感じる」というジョーの台詞は突き刺さりました。

本作の主役はジョーですが、メグやベス、エイミーやローリー、両親やマーチ叔母さん一人一人の物語にそれぞれが繋がっています

本作で印象深いシーンがあります。

四姉妹と母がローリーの家に行ったとき、女性全員がわちゃわちゃして、彼女たちが去った後異様なまでに部屋が静まったシーンは、姉妹の関係性を物語るのに十分なシーンだと思いました。

「うるさい女たち」という描かれ方ではないんです。

グレタ・ガーウィグがどれだけ本作に力と愛情を注いだか、このシーンを観るだけでも伝わってきます。

花子の若草物語の知識は、過去にハウス世界名作劇場でアニメをやっていたことをうっすら覚えている程度です。

ベスのはっきりとした意志と行動力、エイミーとの激しい喧嘩を覚えています。

特に印象的だったのはエイミーが鼻が低いのを気にしていて、洗濯ばさみで鼻を挟んでいたことです。

もちろん花子もはさみました、鼻を。

痛くて数秒で洗濯ばさみを投げ飛ばしてしまいましたが。

鑑賞中はそんなくだらないことを微塵も思い出すこともなかったです!

こんなに出演者がみんないきいきしている作品って他にあったかな。

グレタ・ガーウィグ版若草物語は、ただのオールキャストムービーではありません

女性のつながりの強さ、人間が成長する姿をしっかりと感じられる愛情たっぷりの作品です。

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019)のタイトル

最初日本のタイトルを見たとき、みなさんと同じように「ワンダイレクション?」と思いました。

でも同じ英語を使ったタイトルなら、「リトル・ウィメン」で良かったのではないかと感じました。

マーチ姉妹の原点は両親にあるからと考えられるからです。

19世紀当時の殆どの男性が"女性は子供を産むだけの対象"としていた事に対し、マーチ家の父は、女性にも男性と同じように考え、行動できるという革新的な考えがありました。

そんな彼は、南北戦争から戻ってきたとき、自分の幼い娘たちを「リトル・ウィメン」と呼びます

「ガール」ではなく「リトルウィメン」

その呼び方こそが、彼の考えであり、姉妹に(とりわけジョーに)受け継がれたことが分かります。

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019)のキャスト

長女メグ:エマ・ワトソン

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結婚が女の幸せと考えている長女メグを演じるのは、ハリー・ポッターシリーズでお馴染みのエマ・ワトソンです。

ベスは結婚が女の幸せというより、愛する人と出会い、家族を作ることが自分の夢だとはっきりわかっている女性ですね。

『美女と野獣』(2017)では美しい歌声も披露し、大人の女性としてのイメージが定着しました。

ソフィア・コッポラ監督の『ブリング・ブリング』(2013)など、攻めた映画に出演もしています。

こだわりすぎなのか、あまり作品選びの才能はなさそうな......?

私生活では世界経済フォーラムで、ジェンダー間の平等についてのスピーチをするなど、フェミニスト活動も意欲的に行っています。

エマ・ワトソンはかつての「フェミニスト」のイメージを変えた、もしくは変えようと懸命に努力している人です。

優しいだけではなく、芯の通った強さを持ったメグを演じるのにぴったりだと思いました。

次女ジョー:シアーシャ・ローナン

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若くしてアカデミー賞の常連のシアーシャ。

グレタ・ガーウィグの初監督作品の『レディ・バード』(2017)では、みずみずしくも痛々しい役を自然体で演じていました。

本作に出演した経緯は、グレタ監督から次回作の若草物語の話を聞いたときに「私がジョーを演じる」と断言したことだそうです。

シアーシャ積極的。そういうところも好き。

本作での冒頭、自分の作品が(心から書きたい内容でなかったとしても)掲載されることになった喜びを、生き生きとした表情で町を駆け抜けるシーンは観ている人の心にも喜びがあふれるような素晴らしい表情でした。

ラストで見せる姿と比較すると、彼女の成長がはっきりと分かります。

三女ベス:エリザ・スカンレン

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病弱な三女ベスを演じたのは、エイミー・アダムス主演のHBOドラマ「シャープ・オブジェクツ」で注目を集めたエリザ・スカンレンです。

天真爛漫さに見え隠れする狂気の演技が素晴らしく、今後要注目の俳優の一人です。

かわいいのかかわいくないのかよく分からないですが、やっぱりかわいいと思います。

ベスは内向的で物静かで冷静で、だけど心に燃えるような炎を持ち、姉妹をつなぐ存在です。

四女エイミー:フローレンス・ピュー

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本作で私、花子が最も注目しているのは『ミッドサマー』(2019)で世間を驚かせた、みんな大好きフローレンス・ピューです。

またの名をピュー子

初めて彼女の演技を観たとき、言葉にはできないオーラを感じて驚きました。

ウィノナ・ライダー主演の『17歳のカルテ』で、助演だったアンジェリーナ・ジョリーを観たときのような驚き。

ウィノナがかすむ、かすむ。

もうやめてくれ!と言いたくなるほどの圧倒。

それぐらいのスター性があります、おピューには。

本作でフローレンス・ピューがアカデミー助演女優賞にノミネートされたのは納得の素晴らしい演技でしたね。

四姉妹それぞれが個性的で魅力的だけれど、エイミーは末っ子だけあって姉たちのことをよく観察していたんだと思います。

とても現実的で賢く、ジョーに憧れながらも反発している

13歳のエイミーから20歳のエイミーをうまく演じ分けていました。

 

ローリー:ティモシー・シャラメ

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ローリー演じるティモシー・シャラメは、顔が美しすぎて苦手でした。

でも彼は見事にローリーを演じてました。

ジョーへ抱いた真っすぐな燃えるような恋心を隠しながら友人のように面白おかしくふるまうローリーは興味深いキャラクターでした。

傷心の彼の気持ちを変えたのはジョーではなくエイミーでした。

エイミーの率直で飾らない意見は、ローリーの心にしっかりと入り込んだのでしょう。

ジョーがフレデリックに自分が書いた小説を批判されたときのように。

ジョーは初めてはっきりと批判されて激高して絶交してしまいましたが。

『ストーリー・オブ・マイライフ』(2019)女性の結婚と経済

パリでローリーと再会したエイミーが、自分の結婚観、人生観について話すシーンがあります。

愛がない結婚を軽蔑しているローリーにエイミーは言います。

お金持ちとの結婚はやましい動機だっていうの?女の稼ぎで家族を養うなんて無理。仮に財産があったとしても、結婚した途端に財産は夫名義。子どもを産んでも彼の子どもになるだけ。結婚は女性にとっての経済問題なの。あなたと私の現実は違うの。

『ストーリー・オブ・マイライフ』(2019)本編より引用

 

22歳のエイミーは、自分は天才ではないという理由で画家になる夢を諦めます。

貧しい家族を残してマーチ叔母さんとパリに来た理由は、家族を助けたいから。

画家となって家族を助けられないなら、お金持ちと結婚するしかない

末っ子のエイミーは誰よりも現実的です。

苦しい気持ちを恋心を抱くローリーに訴えるシーンは、カメラワークが効いており、エイミーの苦しさが伝わってきます。

フローレンス・ピューの抑えた感情は「への字口」になって表れるんですよ。

あの表情には心を締め付けられてしまいます。

本編でもう一か所「への字口」になる重要なシーンがありますよ!

『ストーリー・オブ・マイライフ』(2019)演出

 

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第92回アカデミー賞で作品賞、主演女優賞(シアーシャ・ローナン)、助演女優賞(フローレンス・ピュー)、脚色賞、作曲賞、衣装デザイン賞の6部門にノミネートされ、見事衣装デザイン賞を受賞した本作。

しかし監督賞はノミネートされませんでした

第92回のアカデミー賞は激戦でしたもんね。

ノミネートされたのが『ジョーカー』のトッド・フィリップス、『アイリッシュマン』のマーティン・スコセッシ、『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ、『1917 命を懸けた伝令』のサム・メンデス、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』クエンティン・タランティーノですからね。

しかし女性ならではの視線で古典名作を蘇らせたグレタ・ガーウィグ監督は引け劣っていません

原作にほぼ忠実でいながら、今までの「若草物語」と一味違う理由は、時系列を巧みに変えたことでしょう。

いきいきとした青春時代のジョーと、プロポーズを受けたり、好きな人に作品を批判されて悩みが増えた大人になったジョーを交えて描くので、最初は少し戸惑いますが、この演出が後半効いてきます。

ベスの考える幸せと、メグが考える幸せと、エイミーが考える幸せはそれぞれ違います。

そしてそれぞれを尊重しているところが原作の素晴らしさであり、その素晴らしさを遺憾なく発揮できたのは女性監督であるグレタ・ガーウィグだからです。

いきいきとした表情の四姉妹が「自分らしく」生きる道を探す『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』は、現代を生きる私の心に残る作品となりました。

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