
どこからが二人の計画なのか?!
ヴェネチア国際映画祭で監督賞にあたる「銀獅子賞」を受賞した『スパイの妻』(2019)の感想を書いていきます!
『スパイの妻』(2020)の評価
項目 | 評価 | 点数 |
知名度 | ★★★★☆ | 80点 |
配役/キャスト | ★★★★★ | 100点 |
ストーリー | ★★★☆☆ | 70点 |
物語の抑揚 | ★★★☆☆ | 70点 |
サスペンス性 | ★★★★☆ | 80点 |
おススメ度 | ★★★★☆ | 80点 |
『スパイの妻』(2020)の作品情報

(C) 2020 NHK, NEP, Incline, C&I
製作年 | 2020年 |
原題 | スパイの妻 |
製作国 | 日本 |
上映時間 | 115分 |
ジャンル | ドラマ |
監督 | 黒沢清 |
脚本 | 濱口竜介、野原位、黒沢清 |
主要キャスト | 蒼井優(聡子)
高橋一生(優作) 東出昌大(泰治) 坂東龍汰(文雄) |
『スパイの妻』(2020)の概要
1940年。満州で偶然、恐ろしい国家機密を知ってしまった優作は、正義のため、事の顛末を世に知らしめようとする。聡子は反逆者と疑われる夫を信じ、スパイの妻と罵られようとも、その身が破滅することも厭わず、ただ愛する夫とともに生きることを心に誓う。太平洋戦争開戦間近の日本で、夫婦の運命は時代の荒波に飲まれていく......。
Filmarksより引用
『スパイの妻』(2020)の感想
スパイもののサスペンスと思ったら恋愛ものか!と思わせて、やっぱりサスペンスでした。
ラストは蒼井優演じる聡子が海辺で号泣するシーンで終わります。
私にはその時の聡子の心の中が分かりかねました。
戦争に負けた悲しみ?優作を失った悲しみ?
海辺のシーンの後、終戦の翌年優作の死亡通知(偽装された形跡あり)と、数年後に聡子はアメリカに渡ったという情報が画面にテロップで流れます。
頭の中は「?」でいっぱいでしたが、上映終了後、席を立つ直前「これも二人の計画通りか!!」と気づいて思わず唸ってしまいました。
観るものの予想を裏切る展開で、夫婦で騙しだまされる姿にいちいちびっくりさせられます。
いや、そんな雰囲気まるでなかったやんか!と。
優作が作る自主映画で聡子が仮面を取るシーンが何度か出てきますが、聡子自身が仮面をかぶっているということの表われなんでしょうか。
特に聡子の気持ちが1ミリも分からないからついていけません。そこがほんと残念。
夫を一途に愛するがゆえに、夫の正義感がいつの間にか自分自身のものだと思い込んでどこまでもひた走る姿には驚かされました。
どこで掴んだん、その正義感。
何も見てない、何も知らない聡子が、非人道的な関東軍の実験を見たことで、どんどん覚醒していく様はすさまじく、蒼井優の演技力が爆発していました!
「おみごと」と叫び気を失うシーンだけではなく、優作から「亡命するしかない」とバスで耳打ちされた時の表情、精神病院のベッドで静かにたたずむ場面など、昭和の雰囲気をまとった彼女の演技を観るだけでも価値があります。
まぁ蒼井優は別格だけど、役者陣はみんな本当に見事な演技でした!
高橋一生は私はものすごい過小評価してたみたい。
騒がれすぎやろ、どこがいいねんと。(ヒドイ)
本作では気品と正義感と行動力を持つミステリアスな夫優作を穏やかな、毅然とした態度で堂々と演じていました。
なんていうか役者のプロみたいな、役者の先生みたいな、役者の仙人みたいな。
まぁどの表現もしっくりこなかったけど、そんな感じ。
めっちゃハイレベル。
東出昌大は役柄のせいか、スキャンダルのせいか好きではないけど、血の通わない冷血漢が似合いすぎて、すごい役者だと認めずにはいられません。
映像も美しく、黒沢監督特有の「光」を意識した画が印象的でした。
その後二人がどうなったかは、観た人によって変わると思います。
私は、終戦後アメリカで落ち合う所までが二人の計画だったんだと思いました。
皆さんはどう思いましたか?