【身の程知らずな男の物語】Netflix『Mank マンク』(2020)ネタバレ花子の感想
Netflix映画「Mank マンク」12月4日(金)より独占配信開始

一人の男が立ち向かうには余りにも余りにも、新聞王の存在は大きかった。

オススメ度 ★★★★☆

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『Mank マンク』(2020)の作品情報

製作年 2020年
原題 Mank
製作国 アメリカ
上映時間 132分
ジャンル ドラマ、伝記
監督 デヴィッド・フィンチャー
脚本 ジャック・フィンチャー
主要キャスト ゲイリー・オールドマン(ハーマン・J・マンキウィッツ)

アマンダ・サイフリッド(マリオン・デイヴィス)

リリー・コリンズ(リタ)

チャールズ・ダンス(ウィリアム・ランドルフ・ハースト)

『Mank マンク』(2020)の感想

Netflix映画「Mank マンク」12月4日(金)より独占配信開始

 

『市民ケーン』が出来上がるまで

本作は『市民ケーン』の脚本が出来上がるまでをフィクションとして描いています。

『市民ケーン』は英国映画協会が選出する「オールタイム・ベストテン」に必ず入る奇才オーソン・ウェルズの監督デビュー作です。

愛を知らない孤独な新聞王の生涯を描いた作品で、パンフォーカスや広角レンズを使用したカメラワークなど、現在では当たり前になった技術をこの作品で初めて使用したというから奇才と言われるのも納得。

技術的にも内容も評価されている作品ですが、興行的にはふるわなかったようです。

公開当時存命だった新聞王ウィリアム・ランドルフ・ハーストをモデルにしたことが誰の目にもわかる内容だったため、ハーストがあの手この手で上映妨害をしたとか。

ハーストを恐れて公開をしなかった劇場も多かったとか?!

そんな中アカデミー賞9部門にノミネートされたんだから、オーソン・ウェルズの才能は本物。

脚本はオーソン・ウェルズと本作の主役であるハーマン・J・マンキウィッツの共同脚本と言われているんですよね。

でも本当のところはどうなのか?!

一体どちらがハーストを題材にした作品にすることに決めたのか?!

残念ながら、それを私たちが知ることはありません。

あくまでデヴィッド・フィンチャーは本作をフィクションとして描いているのです。

しかし売れっ子脚本家だったマンクが新聞王ハーストや、その愛人マリオンと友人関係であったことから、マンクが発端となったのではないかと考えられます。

ではなぜマンクは友人であるハーストを哀れな男として描いた作品を世に送り出そうと思ったのでしょうか?

その答えは、資本家に対する逆襲だと思います。

チャーミングな皮肉屋のマンクですが、彼の周りに起こる「ある出来事」をきっかけに、マンクの意識にある変化が起きるのです。

マンクの意識の変化

オーソン・ウェルズに映画の脚本を任されたマンクが、過去を思い出すという形で本作は進行していきます。

才能あふれる脚本家としてパラマウントやMGMで働いていたマンクは、お気楽な皮肉屋という立場でした。

カリフォルニア州知事選で、反シンクレア基金に募金しろと言われた時には「どちらにもつかない。古臭いが中立でいたい」と言っていました。

しかし映画業界の重役たちは、どうしてもシンクレアを勝たせるわけにいかなかったので(シンクレアは富裕層のお金を貧しい人に分け与えるという思想だった)、なんとフェイクニュースを自主製作して流したのです!

それもそのアイデアは、マンクの言葉がきっかけとなったのです。

さらにそのフェイクニュースを作ったマンクの友人は、シンクレアの敗北に責任を感じて自殺してしまいます。

ここからマンクの意識が変わりました。

資産家に対する怒り、自分に対する怒り。

目には目を、メディアにはメディアを!!

『Mank マンク』感想

感動しました。

巨大な資産家のパワーの中にありながら、自分がとてもちっぽけな存在であることを知りながら、何ができるかを考え実行した男の話です。

友人の自殺、メディアを使って市民感情をも掌握しようとする資産家たちの姿を見て危機感を覚えた男の話です。

私なら、めげますね。

めげるのはどのシーンかというと↓↓↓

作中で酔っ払った勢いでマンクがハーマンをドン・キホーテに例えて講釈を垂れますが、その後メイヤーから言われた一言がマンクの酔いを醒ますのです。

「何を勘違いしているんだ。ただの道化師のくせに。お前の給料の半分はウィリー(ハースト)が払っているんだぞ。理由はお前の作品ではなくお前のしゃべりが好きだからだ」

マンクは新聞王ハーストに気に入られて上流階級の人に囲まれていましたが、結局はただの脚本家であったということ。

メイヤーの口から出た「道化師」という言葉は弟からも聞かされていますね。

挙句にハーマンに「オルガン弾きとサル」のたとえ話を聞かされます。

山から下りてきたサルは最初見たことのない世界に圧倒されていたが、サルの踊りは人気になり、いつしか自分の後ろにいる大道芸人を哀れみ、彼を自分の思うとおりにできると考えるようになった

というたとえ話です。

そのサルってまんまマンクよね?!

あの時のマンクは小さくて哀れに見えました。

 

でもここが起点となって『市民ケーン』の脚本を書くことになったのですね。

『Mank マンク』(2020)バラのつぼみ(ROSE  BUD)とは結局何のこと?

『市民ケーン』では"バラのつぼみ"は、主人公ケーンが幼少期に家で遊んでいたソリに記されていた言葉でした。

これはケーンが愛情に飢えていたことを示す素晴らしいオチとなっています。

しかし『Mank マンク』では"バラのつぼみ"は、ハーストがマリオン(愛人)の秘部につけた名前だと言っておりました。

......めちゃしっくりくるやんか!

脚本家ってやりたい放題できるんやな!と、ゾッとしました。

『Mank マンク』(2020)デヴィッド・フィンチャーからの警告

劇中で次のようなセリフがあります。

"肝に銘じないとな。人は映画館の暗闇の中で見たものを信じてしまう。俺たちの責任は大きい"

それな!

ほんま、それな!

『ジュディ 虹の彼方に』(2019)を観てからというもの『オズの魔法使い』やMGMの大御所ルイス・B・メイヤーを冷ややかな目で見てしまう私がいますからね。

作品に全幅の信頼置いてる自分が怖い!と思っていたところにデヴィッドからの忠告を受けたってわけです。

このセリフには

①本作は史実を元にしているけどフィクションやからな!

②フェイクニュースはどの時代にもあるから気をつけなはれや!

という二点が含まれていると思います。

自分にとって有利な民主党政権を維持し続けるために、権力を使ってフェイクニュースを流し、市民の意思を意のままにする権力者たち恥を知れ!

そっちがその気ならこっちもやったるで!という気持ちだったんだと思います、マンクは。

デヴィッド・フィンチャーのこだわり

凝ってる。

凝りすぎている、この男。

恐らく演者も大変だったのではないでしょうか。

何テイクも取り直されていたようですね。

以下にデヴィッド・フィンチャーの本作へのこだわった点をまとめてみました。

こだわり

・『市民ケーン』と同じモノクロ

・音楽は1930-40年代に使えた楽器だけを使って制作し、音も風化させた

・8Kで撮影し、それを劣化させるという手法を使った

・フィルム上映時にリールの切り替え時に付けるチェンジマークが出てくる

また『Mank/マンク』(2020)では分かりにくい所もいくつかありました。
分かりにくい点

・モノクロだから顔、表情が見えづらい

・マリオンがハーストを「パパ」と呼ぶから本当の父親だと思って見てた(史実通り?!)

・どうしてもゲイリー・オールドマンが40代に見えない

『Mank マンク』(2020)まとめ

Netflix映画「Mank マンク」12月4日(金)より独占配信開始

 

筆VS筆の戦いとでもいうのでしょうか。

巨大権力に対して、自身の筆で立ち向かったマンクの勇気に拍手したい。

 

ハーストに雇われていたことを知ったマンクの心情を察すると酒を飲まずにやってられないと思います。

ちっぽけな存在であったと思われた男の脚本は、後世まで残り、彼の反骨精神を思い切りぶつけた『市民ケーン』が不朽の名作となり、今でも多くの人が楽しむことができる作品であり続けている。

この勝負マンクの勝ちです!

 

 

↓キャストの他の作品はこちらでも観ることができます!

 

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