
フローレンス・ピューただものじゃない!(知ってたけど)
オススメ度 ★★★☆☆
私が愛してやまないイギリス人俳優フローレンス・ピューの名を一躍有名にした『レディ・マクベス』(2016)が、2020年のむコレによって東京と大阪で公開されました!
英国インディペンデント映画賞で5部門受賞、10部門ノミネートされ、話題となった本作。
ずっと観たかった作品です。
まさかスクリーンで日本語字幕で観られるなんて!!
ありがとう、のむコレ!!!
口笛を吹く「ピューっと割引」もちろん利用しましたよ。(500円引きだった。恥ずかしさと引き換えにしても良いと思える割引率だった)
『ブラックウィドウ』が延期(配信だけはやめてくれ)となった今の私の心のオアシスとなりました。
ネタバレ満載で感想を書いていきます!
Contents
『レディ・マクベス』(2016)の作品情報

(C)iFeatures Limited 2016.
製作年 | 2016年 |
原題 | Lady Macbeth |
製作国 | イギリス |
上映時間 | 89分 |
ジャンル | ドラマ、恋愛 |
監督 | ウィリアム・オールドロイド |
脚本 | アリス・バーチ |
主要キャスト | フローレンス・ピュー(キャサリン)
クリストファー・フェアバンク(ボリス) コスモ・ジャービス(アンナ) ビル・フェローズ(セバスチャン) |
『レディ・マクベス』(2016)のあらすじ
少女は、純粋で残酷な怪物になるー
19世紀後半の英国。裕福な商家に嫁いだ17歳のキャサリン。
気難しい40歳の夫は彼女に興味がなく、体の関係を持たない。
意地悪な舅からは外出を禁じられ、人里離れた屋敷で退屈な生活を送っていた。
ある日、夫の留守中に若い使用人に誘惑され不倫関係となったキャサリン。
抑え込まれていたものが解き放たれ、少女は欲望を満たすため、邪魔者を許さない純粋で残酷な怪物へと変貌していく。
©iFeatures Limited 2016.
『レディ・マクベス』(2016)の感想
原作はロシアのオペラで、シェイクスピアとは無関係らしいです。
音楽がほとんど流れないので、劇場内は緊張感に包まれていました。
年の離れた男と結婚をするけど、相手にしてもらえず籠の中の鳥状態の17歳のキャサリン。
夫から体を求められることもなく、屋敷に閉じめられた単調な日々を過ごす姿が淡々と描かれます。
それは絵画のようでとても美しいけれど、とても「生きている」という状態ではないです。
そんなキャサリンが抑圧から解放されたことで観客も「良かった(?)よかった」と言いたくなりますが、この作品はそれだけでは終わりません。
「解放だけじゃ物足りんのじゃい!」とでも言わんばかりの欲望全開支配欲全開のキャサリンは、後半になるにつれ目を覆いたくなるような残酷さを見せつけます。
「お前誰だよ...」と観客がびびったとしてもキャサリンの快進撃は止まりません。
最終的には愛人のセバスチャンと共謀して幼い子供を窒息死させるのです!(実行犯はもちろんキャサリン)
罪の呵責に耐え切れず、キャサリンと共謀して子どもを窒息死させたと告白するセバスチャン。
キャサリンは一瞬、ほんの一瞬驚きます。
しかし切り替えが早いキャサリンはセバスチャンをすっきりさっぱり逆に裏切って、関係ないメイドにまで罪を擦り付けました。
「悪魔中の悪魔やん。トップオブザ悪魔やん。」観客はもうキャサリンについていけません。
それもそのはず、彼女はすでに狂気に飲まれていたのです。
誰もいなくなった屋敷で、満足げにソファに座るキャサリンの表情が全てを表しています。
余分な描写がないので、主人公キャサリンのバックグラウンドはイマイチわかりません。
しかしそれがかえって本作の不気味さを際立たせています。
「外が好きです」と夫に言っていたことから、ごく普通の家庭で育った少女なのではないでしょうか。
しかしただの少女が「抑圧されていた」とはいえ、あそこまで目的のために何でもする人間、いや、トップオブザ悪魔になれるものなのでしょうか。
そこが少し引っ掛かりました。
夫の隠し子との会話で、キャサリンは母親のことを聞かれて言葉に詰まります。
過去に母親と何かがあったのでしょうか。
いや、きっと母親のことを思い出したあの時、彼女は悪魔への道か、人間への道か選べたんだと思います。
そして彼女が選んだ道は「悪魔への道」。
なんてこった。
本作はピューの表情が細やかに変わるので、本当に一秒も見逃せないような作品でしたね。
ラストシーンの表情、皆さんはどう受け止めましたか?
今までで一番幸せそうで、満足気な表情でしたよね。
あの表情を見て彼女が本当に欲しかったものは何だったのか考えさせられました。
愛?男?子ども?支配力?
純粋な少女は、自分が思うまま、本能のままに生きたいと思っただけ。
生きているか死んでいるか分からない生活から抜け出したかっただけ。
結局純粋さ故悪の道へとまっしぐらだったけど、観る角度を変えれば、それは彼女にとっての正義だったんでしょう。
絶対あかんけどな!
『レディ・マクベス』(2016)印象的だったシーン
メイドのアンナが男の使用人たちに虐げられている所を目撃し、彼らを叱咤したシーンは迫力があり、威厳を感じました。
屋敷に閉じ込められ、生きているか死んでいるか分からなかったキャサリンが覚醒したと思われるシーンです。
その後、使用人に隠しきれないほどの興味を抱いた表情が印象的でした。
彼に夢中になり、礼を言うアンナに対しては何の興味も持てません。
「完全にハマった」という言葉がぴったり当てはまるような表情でした。
いやー、ほんまにすごいわ、フローレンス・ピューは。
『レディ・マクベス』(2016)まとめ
主演デビュー作にして早くも大御所感のあるフローレンス・ピューを堪能できました。
本作を観て多くの監督が彼女と作品を作りたいと思った理由が分かりました。
『ミッドサマー』や『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』とはまた一味違う演技でしたね!
なんていうか濃厚でした。
周りの役者や景色、ストーリーもかすんでしまうほどです。
彼女はすでに素晴らしい俳優ですが、これからどこまで私たちを驚かせ、喜ばせてくれるのでしょうか。
私は映画を観ることが趣味(月に数本程度ですが)だけど、これほどワクワク感をくれる俳優はいませんでした!
(ジェシー・バックリーにも大大大注目していますけどね!!)
彼女の過去作を観ようと思っても海外のDVDや、海外のAmazon primeでしか観れないものがいくつかあったので「レディ・マクベス」を日本で観ることができて最高の気分です!
他の作品も劇場で(配信でも許す!)観ることができたらいいなぁ!