【想像を絶する孤独】Netflix『もう終わりにしよう。』(2020)ネタバレ花子の感想
© 2020 Netflix, Inc.

つっらー。孤独な人間の頭の中を丸裸にした映画。

イアン・リード原作のNetflix映画『もう終わりにしよう。』(2020)

チャーリー・カウフマン監督の久々の作品にして初のサスペンスホラーである本作。

くせ者ぞろいの役者が集結した『もう終わりにしよう。』は一筋縄ではいかない作品でした。

ネタバレ感想、解説をしていきます!

『もう終わりにしよう。』(2020)の評価

項目 評価 点数
知名度 ★★★☆☆ 70点
配役/キャスト ★★★★★ 100点
ストーリー ★★★☆☆ 70点
衝撃度 ★★★★★ 100点
絶望度 ★★★★★ 100点
チャーリー・カウフマン度 ★★★★★ 100点
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『もう終わりにしよう。』(2020)の作品情報

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製作年 2020年
原題 I'm Thinking of Ending Things
製作国 アメリカ
上映時間 134分
ジャンル ドラマ、ホラー、スリラー
監督 チャーリー・カウフマン
脚本 チャーリー・カウフマン
主要キャスト ジェシー・バックリー(ジェイクの彼女)

ジェシー・プレモンズ(ジェイク)

トニ・コレット(ジェイクの母)

デヴィッド・シューリス(ジェイクの父)

【大いにネタバレあり】『もう終わりにしよう。』(2020)感想

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やられました。

本作は一度観ただけで内容が分かる作品ではありません。

しかし二度観ると「チャーリー・カウフマンめっちゃヒントくれてる!!」と、監督の優しさに気づくことができます。

ネタバレ厳禁な作品な本作の内容は、ある人間の孤独をこれでもかと突きつけてくる映画です。

あれどういう意味やったんだろう?もう一回見よう!(Netflixは便利だね!)→うわぁ、めちゃくちゃ深いやん闇が...知らないほうが幸せやった

ざっとこんな感じやで!

ネタバレが嫌だという方は記事を読まないようにして、すぐにNetflixで作品を観てください。

!!以下思い切りのよいネタバレ感想!!

主役は用務員。

用務員のシーン以外は全部彼の妄想!

頭がよく勤勉な男は、コミュニケーション能力がない為に高校の用務員の職に就いています。

「本来ならこうだったはず」という男の妄想が延々と繰り広げられる中、ところどころに「もう(人生を)終わりにしよう」という男の心の底にある気持ちが見え隠れします。

孤独な男が抱える闇を見せながら、こういう人生もあったのかもしれないという可能性も見せる。

彼の下した決断は、観る者の心にまで影を落とします。

ちょっと覚悟がいる映画でした。

「わーい、待ちに待ったジェシー・バックリーの新作やー!」とウキウキしていたあの頃の自分が懐かしいわ!

以下激しめのネタバレ解説

この映画は素晴らしいミスリードがあるから、大抵の人はパニックになるんじゃないかしら。

ナレーションを担当するのは「ジェイクの彼女」だから、当然のように彼女が主役だと思い込むようミスリーディングされるんですねー。

でも本当の主人公は冒頭からちょいちょい出てくる、まるで物語に関係ないように思われた高齢の高校の用務員ジェイクです。

ジェイク以外のキャラクターは(高校にいる人以外)全てジェイクの記憶と妄想から生み出されています。

用務員のジェイクの頭の中で起きたことが、あたかも現実で起こっているかのように描かれているという演出。

さらにややこしいのが、一度の妄想ではなく、何度となく繰り返された妄想を断片的につなぎ合わせるという見せ方をするのです。

一回観ただけで分かった人の事をこれから天才と呼ばせていただきます。

観客はまた、タイトルにも振り回されます

ジェイクの彼女が「彼との関係に未来はない。もう終わりにしよう」と何度となく心でつぶやくので、恋愛の話だと思ってしまいます。

でも実際は孤独な用務員ジェイクが、人生を「終わりにしよう」とする物語なのです。

ワーズワースの詩を朗読しようかと提案するジェイクに対し、彼女に『わたしは比喩も暗喩もわからない』と言わせるユーモアセンス!

数々のヒントが散りばめられている本作はカルト的な人気作になるかも。

しかし心が少し疲れているような人にはお勧めしません

一度目の鑑賞では「あれってこういうこと?」ぐらいだったので物語の本質を知るより、謎を解きたいような気持ちになって、すぐに鑑賞しなおしたんですよ。

あ、ここにもヒント、お、これも?とか思いながら見てたら楽しかったんです。

でもね、用務員ジェイクの決断はとても、非常に、どこまでも寂しく悲しいもので、とても見ていられなかった。

ジェイクは実家の豚のように、生きながら死んでいたようなものだったんだろうな。

この映画ね、2時間15分、観客が観るもの全てがジェイクなんですよ。

ジェイクまみれの映画

彼女の両親が若かったり、年老いて寝たきりになったりする姿になるのは、妄想が一度きりのものではなく何度も繰り返されたことの現れ。

私たちが観ているのは時間の流れではなくて数々の妄想の断片

母の台詞や父の姿はもしかしたら思い出からきているのかもしれません。

しかしアイスクリーム屋の女の子たち(ジェイクが働いている高校のイケてる女子2人と学校に馴染めない女の子)やジェイクの彼女(名前がコロコロ変わるのは妄想だから)の台詞はジェイクの中の言葉なのです。

姿かたちは違えど、全台詞がジェイクのもの。

高校でジェイクを探す彼女が用務員に「(ジェイクは)どんな見た目?」と聞かれるシーンがあります。

そこで彼女は突然態度を変え「昔のことだから覚えていない。話したこともない。キモイ男だった。40年前に私を刺した蚊を説明できないのと同じ」と言うんです。

まぁこれもジェイクの想像なので本当に言われたことじゃないけど。

彼の妄想が徐々に綻び始め、ラストのオクラホマの再現シーンで妄想の世界のジェイクは消えてしまいます。

その後舞台で表彰されて歌い上げるジェイクは、両親や恋人、みんなに認められ盛大な拍手をもらいます。

こういう人生でありたかったというジェイクの理想。

そうやって彼は人生を『終わり』にしました。

めちゃくちゃ悲しいし、他人ごとではないという気持ちになってしばらく気が滅入ってしまいました。

映画ばかり観ているからな、私。

ジェイクの彼女が言うように「現代の病」を私自身も抱えているのかもしれない。

【ネタバレあり】『もう終わりにしよう。』(2020)の登場人物

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主演は『ルーム』でアカデミー主演女優賞を受賞したブリー・ラーソンの予定でしたが降板。

その後ジェシー・バックリーが起用されました。

ブリー・ラーソンでも大いに楽しめたでしょうね!

でもファンとしてはジェシー・バックリーに決めてくれて大変ありがたいです。

ジェイクの彼女(ジェシー・バックリー)

© 2020 Netflix, Inc.

 

なんでメインの登場人物が「ジェイクの彼女」で名前がないんやろうと不思議に思った方は、本作の謎をいち早く解くことが出来た人かもしれません。

ジェイクとは7週間ぐらいの付き合いで、深いつながりを感じてはいるけど彼との将来が見えず「もう終わりにしよう」と考えている女性。

そんな状態なのに彼の実家に行くことに罪悪感を感じている。

初めてのドライブ旅行なのに全くワクワクしないし、なぜか見たことがあるような景色ばかり。➡理由はココ

前半はジェイクと彼女の車内の会話で物語は進んでいきます。

鈍感な私は一度目では気が付かなかったんですが、彼女の服の色や髪形どんどん変化しているんですよね。

職業や名前すら変わるんです。

なぜなのか?!

それは、彼女は「ジェイク(高齢の用務員)の妄想から生み出された人物」だからです。

恐らく実際にかつて出会った人物で、勇気を出せず、電話番号を彼女に渡せなかったことをジェイクは引きずっていて、彼女に電話番号を渡していればこうなったんじゃないかなという妄想のために登場させています。

スマホを観る時必ず眼鏡をかける理由は、本物のジェイクは眼鏡が必要だからでしょう。

携帯電話に自分からの着信がたくさん入っている。(名前はルーシーだったりルイーザだったりイヴォンヌ(用務員が観ている映画の登場人物名)だったり変わる)

ジェイク(ジェシー・プレモンス)

ジェイクこそが本編の主人公です。

ナレーションはジェシーの彼女なので完璧にミスリーディングされてしまいました。

しかし彼は高齢になったジェイクの頭の中のジェイクです。

かつで自分が最も魅力的だった頃の記憶なのでしょう。

ジェイクだけは見た目(服装)もほとんど変化がありません。

自分の記憶だからです。

勤勉で頭がよく、物知りな人物。

7週間前にバーで知り合った女性と付き合い、彼女を実家の両親に会わせることにし、二人で初のドライブ旅行をすることに。

自分の頭の中だとバレないように、もう終わりにしようという考えを封じ込めるかのように

ジェイクの母(トニ・コレット

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ジェイクの母もまた、かつての思い出と妄想で作り上げられています。

トニ・コレットは特殊メイクを用いて、若いころから寝たきりになるまでを演じています。

明るい人物で息子を愛していたことが分かります。

ジェイクの彼女にヒントをたくさんくれる人物でもある。

例えば、ささやき声が聞こえて疲弊しているときに、ジェイクの彼女に「大変ですね」と言われたら即座に「お互いにね」と笑いながら言ったり。(彼女も同様にジェイクの妄想の人物ということを伝えている

ジェイクの彼女に地下室へ行き、汚れた服を洗濯機に持っていくよう強く促してもいます。(地下室だけは現実世界と同じになっていて、洗濯機の中には用務員の制服の洗濯の最中)

妄想から抜け出して早く決断しろと言っているかのよう。

本作では『へレディタリー 継承』を彷彿とさせる演技で圧倒させてくれますよ!

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ジェイクの父(デヴィッド・シューリス)

ジェイクの父親は、ジェイクと彼女のなれそめの話を聞いて(妄想の)矛盾点を無慈悲にも突きつけます。

もともと妄想だと気づいていると思われるジェイクとジェイクの母はその発言に静まり返ります。

バレちゃうって!みたいな感じ。

ジェイクの彼女も「あれ?おかしいな?」という考えが巡るけど、とりあえず気を取り直して会話しなおしてました。

あのドキドキ感!

父親も若くてはつらつとしている時や、歳をとって認知症になっている状態までを演じています。

ジェイクが実家に帰った時は、お互い顔も見ずに握手するだけの挨拶だったことから、息子との折り合いは悪かったのかも。

『もう終わりにしよう。』(2020)伏線

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この記事では私が妄想であると気づいたヒントを箇条書きで書き出していきます。

・用務員が乗る車にピエロの包み紙がある(ジェイクと彼女が寄るアイスクリーム屋のキャラクター)

・用務員の車にあった水筒が、ジェイクの実家の玄関にある(ジェイクが気づいて慌てて隠す)

・アイスクリーム屋の女の子はジェイクが用務員として働いている高校の生徒で学校で馴染めていない子(ジェイク自身の投影)

・アイスクリーム屋の意地悪な女の子二人は用務員であるジェイクをバカにしている高校生

・ジェイクがアイスを捨てるゴミ箱がパンパン(この妄想を何度も繰り返している)➡何度も「もう終わりにしよう」と思うが決断できないことを表している

・ジェイクの彼女が「もう終わりにしよう」と考えながら階段を降りるシーンが無限ループのようにある(この妄想を何度も繰り返している)

・ジェイクの幼少期の写真が一瞬ジェイクの彼女の写真になる(妄想の修正?)

・ジェイクの彼女が作った詩(実家のジェイクの部屋にある詩集)

・ジェイクの彼女のカサヴェテス監督の『こわれゆく女』の批評(実家のジェイクの部屋に批評家の本がある)

・犬のジミーに「臭い」と言った時のジェイクの反応「ごめん」(高校のころいじめられた?)

イアン・リードの原作

映像ではわからなかったことも本では詳しく書いてあるそうです。

詳しく知りたい方は原作を読むことをお勧めします。

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ジェシー・バックリー次回作について

飛ぶ鳥を落とす勢いのジェシー・バックリー。

次回作はマギー・ギレンホールの初監督作品『ロスト・ドーター』です。

共演はピーター・サスガード、ダコタ・ジョンソン、そしてジェシーが敬愛するオリビア・コールマンです。

9月からギリシャの島で撮影開始だそうです!(2週間の検疫後)

ワクワクがまた一つ増えました!

ファーゴのシーズン4は日本でいつ配信されるのでしょうか?!

全米放映日は9月27日に決定したそうです。

FXonHuluなので日本ではどうやって観ることが出来るのかまだわかっていません。

最新情報入り次第追記致します!

20201年1月29日(金)よりAmazon Prime Videoチャンネル‎「スターチャンネルEX -DRAMA &CLASSICS-」(スターチャンネルEX)にて日本独占配信決定!!

あざーっす!!

ジェシーは看護婦のメイフラワーを演じています。

かなりファンに愛されてるキャラクターみたいですからね。

楽しみですね!!

 

 

 

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