【自己肯定感の欠如に気づいた女性の大きな一歩】『ブリット=マリーの幸せなひとりだち』(2019)ネタバレ花子の感想
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承認欲求の向こう側へ踏み出すブリット=マリー(63)の成長

オススメ度 ★★★★☆

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『ブリット=マリーの幸せなひとりだち』(2019)の作品情報

©AB Svensk Filmindustri, All rights reserved

製作年 2019年
原題 Britt-Marie var här/Britt-Marie Was Here
製作国 スウェーデン
上映時間 97分
ジャンル コメディ、スポーツ
監督 ツヴァ・ノヴォトニー
脚本 アンダース・アウグスト/ツヴァ・ノヴォトニー
主要キャスト ペルニラ・アウグスト(ブリット=マリー)

ペーター・ハーバー(ケント)

アンデシュ・モッスリング(スヴェン/警察官)

『ブリット=マリーの幸せなひとりだち』(2019)あらすじ

©AB Svensk Filmindustri, All rights reserved

63歳のブリット=マリーは、40年間専業主婦をしている間に笑顔を忘れてしまった。

仕事で疲れて帰ってくる夫のため、家事や料理をしっかりすることが自分の役目と信じて生きてきたマリー。

ある日夫が出張先で倒れ、病院に駆け付けると、そこには夫が長年連れ添った愛人が…。

それまで信じてきたものが崩れ、ブリット=マリーはスーツケースひとつで家を出る。

今まで仕事をしたことがないブリット=マリーがようやく見つけた仕事は地域の子どもたちの弱小サッカーチームのコーチだった。

『ブリット=マリーの幸せなひとりだち』(2019)原作

本作には原作があります。

皆さんは『幸せなひとりぼっち』というスウェーデン映画をご存じですか?

妻を亡くし、自分もあの世に行きたいと考えている偏屈じいさんが、隣人のイラン人女性やゲイの少年と交流していき、次第に心を開いていくというストーリー。

スウェーデンの人気作家、フレドリック・バックマンの本です。

『ブリット=マリーはここにいた』も、フレドリック・バックマンの作品。

 

元はフレドリック・バックマンの『おばあちゃんのごめんねリスト』という本にブリット=マリーは超絶脇役で登場していて、そこから大出世して主役の本が出来上がったよう。

どちらもハードカバーのしゃれた本ですが、できれば通勤中に読みたいので文庫化してほしいなぁ。

すべての物語に共通しているのが、周囲の人の温かさです。

ブリット=マリーは頑固な変わり者だけどいい人間です。

しかしちょっとやそっと付き合ったからって、彼女の良さを知るのは難しいでしょう。

でも知ろうとするんですね、周りの人が。

スウェーデンてとっても温かい人が多いんじゃないかな。

 

 

『ブリット=マリーの幸せなひとりだち』(2019)感想

『ブリット=マリーの幸せなひとりだち』(2019)ネタバレ感想

まずは夫の裏切りが明るみに出たときのブリット=マリーの行動力に拍手したい。

ブリット=マリーは、家をきれいに保つこと、食事をしっかり作ることが生活の全てで、同じ時間に食事をとり、規則正しくすることが好き。

汚れや匂いは信頼する重曹を使って徹底的に落とします。

夫ケントの浮気には気がついています

でもちゃんと家に帰ってくるというだけで、ブリット=マリーは納得しようとしていたんでしょう。

そんなブリット=マリーの初めての一歩は家出です。

家出したブリット=マリーは、ボリという村で弱小サッカーチームのコーチとなって、今まで関わらなかったような人たちと交流を深めます。

そのうちの一人、ヴァリという少女に「戦わずに逃げるの?旦那が浮気したから逃げるように」と言われてしまいます。

初めの一歩と思っていた家出も、逃避でした。

太陽のように明るい姉が亡くなった過去、両親を喜ばせようと掃除に努力したけれど、認められなかった過去。

そのままケントと結婚して家をキレイに保っていたけど、ケントは当然のことと思い、ブリット=マリーの承認欲求は満たされることはありませんでした。

他者に認められることで満たされる承認欲求は誰にでもあります。

ブリット=マリーのような過去があればなおさら。

愛してくれるはずの両親からの愛を感じることができないんだもの。

本作は63歳にして、他者からの承認欲求から脱却し、自分を愛するという第一歩を踏み出した女性の物語

「環境を変えることは難しい」と言い訳をしていたブリット=マリーが、かつて抱いていた姉との夢であるパリ旅行に行くことで、彼女のこれからが全く違った人生を歩むことになることを表しています。

何かを始めることに遅すぎることなんてないんだと、私の背中もそっと押してくれる優しさに満ち溢れた映画でした。

『ブリット=マリーの幸せなひとりだち』(2019)はサッカー映画ではない!!

ブリット=マリーはずっと専業主婦だった為に仕事を選ぶことができません。

なので聞いたこともない村"ボリ"でユースワーカー兼サッカーチームのコーチとして働くことになります。

サッカーを愛する夫ケントを見て『球を蹴ることの何が面白いんだろう』と思っていたブリット=マリーが、です!

前のコーチのサッカーの基礎本を読んでなんとか指導しますが、わかってるのかわかってないのか。

子どもたちはライバル(?)チームからなんとしても1点取る為に一生懸命頑張ってるけど、とにかく上達しないんです。

ブリット=マリーの指導で上達することもなく、ライバルチームとの対戦に挑みます。

でも前半で9点入れられてボロボロ。

ハーフタイムで「パスが読まれてるからゴール前にヴェガを走らせて大きく蹴るのよ!」というような具体的な指導はない代わりに「諦めるな!不可能はない!」と、精神論で押し切ります。

気合だ!気合だ!気合だー!です。

しかしそれで火がつくんですね。

おそらく細かい指導ではああはならなかったでしょう。

指導者とチームの信頼関係が為せる技です。

サッカー好きが見るとちょっともやっとするけど、チームや応援する人たちみんなが心から楽しそうな笑顔を見せるから泣けてしまいました。

『ブリット=マリーの幸せなひとりだち』(2019)のキャスト解説

ペルニラ・アウグスト/ブリット=マリー

スウェーデンの国民的女優のペルニラ・アウグストは『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999)『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』(2002)で、アナキンの母親のシミ・スカイウォーカー役として出演し、その名を世界に知られるようになりました。

アンデシュ・モッスリング/スヴェン・警察官

スウェーデンとイタリアで演技の勉強をした。

活躍の場は主に舞台。

スウェーデンの北欧ホラー『テルマ』(2017)にも出演していたそうです。

何役かは聞かないでください。

観たのに全然記憶にないんですから!

どうなってんだ、私の脳は!

『ブリット=マリーの幸せなひとりだち』(2019)まとめ

ブリット=マリーがラストで選んだ道は、観客の私たちをも驚かせます

「1日ずつよ、」と自分に言い聞かせてきたブリット=マリーの大きな大きな一歩は、本作でも登場さた『不可能なことなんてない』という言葉が観客にダイレクトに伝わってきます。

たくさんのことを諦めて、自分のことも諦めてしまっている人はたくさんいます。

まずは自分のためにできることを。

本作は地味だけど、村の人たちの笑顔が輝いて、ブリット=マリーの未来も輝いて、とても眩しい映画でした。

"自分がいたことの証明"を窓ガラスに残したとき、彼女はどんな表情だったんでしょうね!

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