あなたはラストの神々しい踊りをどう受け止める?『アナザーラウンド』(2020)ネタバレ感想
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この映画はアルコール賛歌映画ではない!

『アナザーラウンド』(2020)の感想、解説をしていきます!

『アナザーラウンド』(2020)の評価

項目 評価
知名度
配役/キャスト
ストーリー
物語の抑揚
酩酊度
おススメ度
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『アナザーラウンド』(2020)の作品情報

製作年 2020年
原題

Druk

製作国 イタリア、フランス
上映時間 115分
ジャンル ドラマ
監督 トマス・ビンターベア
脚本 トマス・ビンターベア、トビアス・リンホルム
主要キャスト マッツ・ミケルセン(マイケル)

トマス・ボー・ラーセン(トミー)

マグナス・ミラン(ニコライ)

ラース・ランゼ(ピーター)

『アナザーラウンド』(2020)の概要

デンマークを代表する人気実力派俳優のマッツ・ミケルセンが、アカデミー外国語映画賞にノミネートされた「偽りなき者」のトマス・ビンターベア監督と再タッグを組んだ主演作。冴えない高校教師のマーティンと3人の同僚は、ノルウェー人の哲学者が提唱した「血中アルコール濃度を一定に保つと仕事の効率が良くなり想像力がみなぎる」という理論を証明するため、実験をすることに。朝から酒を飲み続け、常に酔った状態を保つと授業も楽しくなり、生き生きとするマーティンたち。生徒たちとの関係も良好になり、人生は良い方向に向かっていくと思われた。しかし、実験が進むにつれて次第に制御がきかなくなり……。「偽りなき者」でもミケルセンと共演したトマス・ボー・ラーセンやラース・ランゼらがマーティンとともに実験を行う同僚教師を演じた。脚本に「偽りなき者」「ある戦争」のトビアス・リンホルム。新型コロナウイルスの影響で通常開催が見送られた2020年・第73回カンヌ国際映画祭のオフィシャルセレクションに選出されたほか、第78回ゴールデングローブ賞の最優秀外国語映画賞にノミネート、第93回アカデミー賞でも監督賞と国際長編映画賞の候補に挙がり、国際長編映画賞を受賞した。

映画.comより引用

『アナザーラウンド』(2020)の感想

「血中アルコール濃度を0.05%に保つと仕事もプライベートもうまくいく」

これを教師4人が実生活で実験するという、一見あほみたいなお話です。(日本で酒気帯び運転と判定されるのは血中濃度0.03%

マッツが演じるのは無気力で家族ともすれちがい、教師としての仕事もうまくいかないマイケル。

アルコールの力で人生をやり直そうとする考えはとても正気とは思えません。

ま、それだけ追い詰められているんですね。

マッツの魅力を感じるシーンは前半には殆どなく、いい年をした大人が自制できずにお酒に飲まれていく姿がひたすらおかしくて悲しいです。

彼らの実験は途中まではうまくいきますが、調子に乗って血中濃度を上げていくうちに、当然ながら仕事や私生活に支障をきたすようになります。

「このままではアルコール中毒になる!」と危惧した3人はアルコールを自制し、自分の人生や大切な人を失わずに済みます。

しかしトミーだけはお酒を自制できずアルコール依存症となり死んでしまうのです。

アルコールは気分やパフォーマンスを高めることができるけれど、常に悲劇と隣り合わせであるという事実も監督は伝えたいのでしょう。

16歳でお酒を買えるんですからね、デンマークという国は。

お酒に対する考えは日本人の感覚とは少し違うのかもしれません。

もっとずっと身近な存在で、人生を楽しむツールなのかも。

しかし鑑賞して伝わるのはアルコールの恐ろしさ9、アルコールの楽しさ1という割合です。

でもその「1」のパワーたるや!!

その「1」の解放感たるや!!

ラストのマッツのダンスは涙が出そうなほど気持ちが解放されました。

しらふで映画を鑑賞しているのに、お酒を飲んでいるかのような高揚感。

しかしトミーを失った悲しみから逃れて踊っているようにも見えるのです。

そして友人のトミーが亡くなったことさえアルコールを断つ理由にはならないのです。

ラストシーンは彼らが結局アルコールから逃れられないことを表現しているのだと思います。

高揚感と絶望が同時に感じられるという素晴らしく恐ろしい結末でした。

『アナザーラウンド』(2020)まとめ

アカデミー賞で監督が受賞した時のコメントは悲しさと力強さがありました。

撮影4日目に本作に出演する予定だった娘が交通事故で亡くなるという悲劇があったのです。

マッツの娘役で出る予定だったそうです。

本作に出ている生徒は娘の同級生たちもいて、舞台となる学校は娘が通っていた学校なのです。

そんな監督が打ちひしがれながらも娘の為に作り上げた作品なのですね。

「物語が悲しい方向に傾くと、娘は「希望を与えなきゃ!」と言っていた」という監督のインタビューを見ました。

ラストのすがすがしいまでの解放感は、監督から娘へのありったけの想いだったのかもしれません。

神々しいほど素晴らしいシーンでした。

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