
人生の終わりを決断したリリーの目を通して見る世界はとても美しい。
『ブラックバード 家族が家族であるうちに』(2019)の評価
項目 | 評価 |
知名度 |
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配役/キャスト |
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ストーリー |
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物語の抑揚 |
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考えさせられる度 |
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おススメ度 |
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『ブラックバード 家族が家族であるうちに』(2019)の作品情報
製作年 | 2019年 |
原題 |
Blackbird |
製作国 | アメリカ、イギリス |
上映時間 | 97分 |
ジャンル | ドラマ |
監督 | ロジャー・ミッシェル |
脚本 | クリスチャン・トープ |
主要キャスト | スーザン・サランドン(リリー)
ケイト・ウィンスレット(ジェニファー) ミア・ワシコウスカ(アンナ) リンゼイ・ダンカン(リズ) ベックス・テイラー・クラウス(クリス) |
『ブラックバード 家族が家族であるうちに』(2019)の概要
「デッドマン・ウォーキング」のスーザン・サランドンと「愛を読むひと」のケイト・ウィンスレットという、ともにオスカーを受賞している2人が初共演し、2014年製作のデンマーク映画「サイレント・ハート」をリメイクしたヒューマンドラマ。同作の脚本家クリスチャン・トープが自ら脚色を手がけ、「ノッティングヒルの恋人」のロジャー・ミッシェル監督がメガホンをとった。ある週末、リリーは夫ポールと暮らす海辺の邸宅に、娘のジェニファー、アンナとその家族、そしてリリーの学生時代からの大親友リズを集める。それは、ある理由によって死を覚悟したリリーが、“家族が家族であるうちに”過ごすために自ら用意した最後の時間だった。それぞれ平静を装いながらリリーの願いである最後の晩餐を共にする彼らだったが、あることをきっかけに緊張感が弾け、それぞれの秘密が明かされていく。リリーをサランドン、ジェニファーをウィンストレットが演じ、リリーの夫ポール役で「ジュラシック・パーク」シリーズのサム・ニール、次女アンナ役で「アリス・イン・ワンダーランド」のミア・ワシコウスカが共演。
映画.comより引用
『ブラックバード 家族が家族であるうちに』(2019)の気になるキャスト
ベックス・テイラー・クラウス
2016年にゲイとして、2018年にはノンバイナリーとしてカミングアウトしたベックス・テイラー・クラウス。
Netflixの『13の理由』や『ダンプリン』でもゲイの役を演じていました。
女優のアリシア・マリー・シクストスと結婚しています。
アメリカ版の「The KILLING」にも出演していたのですね!
夢中で観ていた番組なのに覚えてない...。
次回作は『イン・ザ・ハイツ』や『クレイジー・リッチ』のジョン・M・チュウ監督作品『Triage』です。
医療ドラマだそうです!
『ブラックバード 家族が家族であるうちに』(2019)の感想
私がリリーならどうするだろう。
私が娘たちならどうするだろう。
自分で自分の体をコントロールできなくなったら生きる意味を感じる事ができなくなるというのは想像できるし、その時には自分は存在しているだけで周りに迷惑をかけてしまうだろう。
そうなる事が分かったら、ただ流されるままに生きるだろうか。
周りの人間にできることは、ただその決断を受け入れるだけなんだろうな。
生きることに決めたとしても、自分で終わらせることに決めたとしても。
本作で描かれている受け入れ方は様々で、悲しみを堪える人や、自分の思いを伝える人、心で深い悲しみを抱えているのに頭で理解したつもりになっている人がいる。
私たちは人生はいつか終わることを知っている。
でもその日がいつなのかを知ることはない。リリーのように決断した人以外は。
終わりの日を知ることで本人も、周りの人間も本当の意味で「生きる」ということを知り、残された時間を「どのように生きるか」考えることが出来る。
それは私たち観客も同じ。
物語の舞台となるリリーの豪邸が素敵すぎて「憧れちゃう」とか思いましたが、バリアフリー的には厳しい作りですね。
いつか死ぬということを考えたら、デザイン性より機能性をとるべきか?!という自分には一生縁がなさそうなことにまで悩んでしまいました。
俳優陣はみんなすごく良かったです!
特にケイト・ウィンスレットとミア・ワシコウスカの姉妹が素晴らしい。
姉妹の性格の違いと、それでもお互い想い合っている所がじんわり伝わります。
イマイチ入り込めなかったのはリリーの親友で夫の愛人のリズの存在。
リリーが死ぬ前から不倫させる必要あるかー?
あの3人の道徳観念がことごとく受け入れられなかった。
あと、明日死ぬからってマリファナを楽しむとは!
ともあれ、自分の人生についてとても考えさせられる作品ではありました。
名優たちの共演を見るだけでも十分満足できる作品ですよ!
『ブラックバード 家族が家族であるうちに』(2019)のまとめ
とにかく家も、家から見える風景も素晴らしく美しいのです。
そして家族が生活している姿も。
このような美しい瞬間を噛みしめるように眺めるリリーの心情はどのようなものなのでしょうか。
彼女の目を通して見たら、私たちも今というかけがえのない一瞬を生きていると気づくことが出来ます。
人生の終わりが見えていないから、私たちはなんとか一日をやり過ごす。
妥協したり、ちょっとずるしたりしながら。
「明日取り戻せばいっか」という気持ちで。
でも人生の終わりを決めた人は、空を眺めたり鳥のさえずりに耳を傾けたり、家族とたわいない会話をすることが幸せなんだと、なんでもない今が幸せなんだと気づいている。
この映画を観た人は時々リリーを思い出して、自身の残された人生をどう過ごすか考えることが出来ると思います。